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Your search : [ author:棚橋篁峰] Total 101 Search Results,Processed in 0.093 second(s)
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1. 漢詩の共通理解に向けて
漢詩は、日本人の文化に根付き多くの人々に人気があります。しかしながら、漢詩は日本人にとって十分理解できるものであるかどうかというと難しいのではないでしょうか。漢詩が日本に伝わるのは、正確には解らないのですが、遣隋使が派遣された六〇〇年代の初頭には日本に入ってきたはずです。やがて、天智天皇の大津朝に至って、具体的に日本人の漢詩が見られるようになります。それ以後、古代·中世·近世·近代と日本における詩
Author: 棚橋篁峰 Year 1999 Issue 7 PDF HTML
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2. 月は本当に落ちるのか
漢詩は一般的に漢字で書かれているから解釈上問題がないと思われてきました。しかし、唐の詩人張継(ちょうけい)の「楓橋夜泊」(ふうきょうやはく)のようなポピュラーな詩でも疑問があるのです。月落烏啼霜満天、 江楓漁火對愁眠。 姑蘇城外寒山寺、 夜半鐘聲到客船。月落ち烏啼いて 霜 天に満つ、 江楓 漁火 愁眠に対す。 姑蘇城外の寒山寺、 夜半の鐘声
Author: 棚橋篁峰 Year 1999 Issue 8 PDF HTML
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3. 明月は光る
李白の有名な新楽府の「静夜思」(せいやし)を読んでみましょう。『唐詩選』に出典を求める日本では次のようになっています。牀前看月光、 疑是地上霜。 擧頭望山月、 低頭思故郷。牀前 月光を看る、 疑うらくは是れ 地上の霜かと。 頭を挙げて 山月を望み、 頭を低れて 故郷を思う。現代、中国のテキスト『唐詩三百首』に出典を求めると次のようになります。牀前明月光、 疑是地上霜。 擧頭望明月、 低頭思故郷。
Author: 棚橋篁峰 Year 1999 Issue 9 PDF HTML
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4. 「南朝四百八十寺」其の一
今回は少し専門的なのですが、古来、漢詩の説明で解説されていたことが、今日間違いであると分析された問題があります。多くの人が知っている杜牧の「江南の春」です。江南の春 杜牧千里鶯啼緑映紅、 千里(せんり) 鶯(うぐいす)啼(な)いて 緑(みどり) 紅(くれない)に映(えい)ず、 水村山郭酒旗風。 水村(すいそん) 山郭(さんかく) 酒旗(しゅき)の風(かぜ)。 南朝四百人十寺、 南朝(なんちょう)
Author: 棚橋篁峰 Year 1999 Issue 11 PDF HTML
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5. 南朝四百八十寺」其の二
前回お話ししたように「江南の春」は近体詩の規則に合っていません。それを救うのが拗救で、拗救には次のような三種類があります。一寸長くなりますが解説します。(一)「仄仄平平仄仄平(●●○○●●○)」の平仄式の句で、第三字でもし仄字を使った場合、第五字で平字を使って平字を取り返して孤平(平字が仄字に挟まれて孤独になること)を避けるようにするのです。そうすると「仄仄仄平平仄平(●●●○○●○)」となります
Author: 棚橋篁峰 Year 1999 Issue 12 PDF HTML
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6. 「現代漢詩」の作詩法(一)
今までお話ししたように、古典漢詩の理解においても日本と中国には違いがありました。では、現代の漢詩はどのように変化したのでしょうか。この問題について、日本ではほとんど理解されてないといってよいと思います。現在日本で作られている漢詩は、唐代に完成した近体詩に範をとっています。中国でも『佩文韻府』の作られた清朝まで、漢詩は古典音で韻を決めていました。中国語の発音変化が進んでいるにもかかわらず、このように
Author: 棚橋篁峰 Year 2000 Issue 1 PDF HTML
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7. 「現代漢詩」の作詩法(二)
日本に留学している中国人の若い漢詩作家からこんな悩みを聞いたことがあります。「作詩して日本の大学の先生に見てもらうと、韻が違うと言われることがあります。一寸困るんですよね、中国人である私が韻が違うと言われることは、自分の国の言葉が解らないのかと言われているのと同じなんですよ」。漢詩は日本では古典でも、中国では三千年の歴史の中で、常にその時代を写し、時代を語るこころの叫びでした。ですから韻もその時代
Author: 棚橋篁峰 Year 2000 Issue 2 PDF HTML
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8. 「現代漢詩」の作詩法(三)
若い学生に漢詩を作ってみないかと聞いたことがあります。すると多くの答えは、「漢詩は難しいですから」「学生時代にやった漢文·漢詩がいやで困りましたので」など、あまりよい答えは返ってきません。不思議なことにこのような答えをする学生の多くは、中国語を外国語として学んでいるのです。現在、日本では英語に次いで中国語を学ぶ学生が多いそうです。古典の伝統を受け継いだ現代漢詩は、前回お話ししたように現代中国語の韻
Author: 棚橋篁峰 Year 2000 Issue 3 PDF HTML
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9. 『唐詩三百首』を読もう(一)
漢詩は中国の伝統詩詞ですから、現代人が漢詩を作るにしても鑑賞するにしても基本の知識教養は古典にあるのです。前回、私が現代の若者に漢詩作詩を勧めたのは、現代中国語を学んでいる人は、比較的簡単に漢詩入門が可能であることを紹介したのです。上手い下手を論じなければ、前回の話だけでよいのですが、漢詩をきちんと勉強しようとすれば、勿論足りないことはお分かり頂きたいのです。漢詩は世界最高の詩文学ですから、詩文と
Author: 棚橋篁峰 Year 2000 Issue 4 PDF HTML
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10. 『唐詩三百首』を読もう(二)
前回から『唐詩三百首』の鑑賞を始めました。古典の優れた漢詩を詩人の立場で、詩人の感情で読んでみたいと願っています。私達日本人は、漢詩を文法·漢字の字義だけで鑑賞、解釈している場合が多いのです。それでは、前回紹介した「言外の意」「絃外の音」「味外の味」を漢詩の中から感じることはあまり出来ないと思うのです。特に優れた漢詩は、私の鑑賞眼からすると、作者が失意の中にあったりしている場合が多いと思うのです。
Author: 棚橋篁峰 Year 2000 Issue 5 PDF HTML