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Your search : [ author:(本誌記者 韓瀚)] Total 356 Search Results,Processed in 0.092 second(s)
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301. 黄山
「黄山より帰り来たれば五岳を見ず」明時代の中国に、徐霞客という地理学者がいて、その足跡は全中国におよんだ。かれは幾多の名山を踏破し、こんな結論をくだした―「五岳より帰り来たれば山を見ず、黄山より帰り来たれば五岳を見ず」「五岳」とは、泰山、華山、衡山、恒山、嵩山の有名な五山を指す。徐霞客は、五岳が最も傑出していると思っていたのだが、黄山に遊んだら、五岳に遊ばなくてもよいと思うようになった、といってい
Author: 韓瀚 Year 1978 Issue 2 PDF HTML
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302. 磁州窯
ある外人の驚きなが年北京に住んでいる外人の友だちからお茶に招かれた。彼は陶磁器のマニアだから、きっとまたなにか新しい掘り出し物を私に見せるつもりなのだろう。彼はお茶をいれ、一杯注いで差しだした。私が一口味わって茶わんを置くと、「いかがです、あなたも良いと思われますか」と急須を指した。私は彼がお茶の品定めを求めているのかと思ったので、「碧螺春ですね。味が大変すっきりしていますから、きっと新茶でしょう
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 1 PDF HTML
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303. 宜興窯
ピカソのコップ音楽畑の友人の家でめずらしいデザインの磁器製のコップを見かけた。どうも中国のものでもなければ、日本のものでもなさそうだ。どこから手に入れたのかをさっそく聞いてみた。「そんじょそこらにあるコップではないんでね、これは。底のサインを見ればわかるさ」友人の声には力がこもっていた。すぐにコップの底をたしかめてみると、サインは、ピカソとあった。おどろいて、「ほほう、ピカソも磁器を焼いているのか
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 2 PDF HTML
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304. 建窯
泉州の茶店で福建の人は、お茶が大好きだ。それも「功夫茶」を好んで飲む。もともと、わたしも「功夫茶」については何の知識もなかったのだが、このほど泉州へ行く機会に恵まれ、そこで「功夫茶」とは何か、どのようにして飲むのか、その味はどうかなどについて、いくらかの知識をえたのである。泉州は台湾海峡に臨んだ都市で、昔は「刺桐城」と呼ばれていた。そこには、唐の玄宗の時代に建てられた開元寺という寺があって、内外に
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 3 PDF HTML
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305. 湖南の窯
洋画家のマニア毎日の暮らしのなかには、ちょっと目にはへんてこだが、よく見るとなるほど、といったことがあるものだ。私の知り合いにお年寄りの漢方医がいる。先生は長いひげをたくわえ、中国式の衣服をまとい、住まいの家具一式もすべて中国伝統の花鳥の彫刻が入っている。患者の処方箋は毛筆で書き、まれに万年筆を使うことがあっても、筆と同じ持ち方で持つ。周囲が「国粋」よばわりしても、とんと意に介さない。ところが、こ
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 4 PDF HTML
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306. 鈞窯
バッハから窯変へ仕事のほかはバッハやモーツァルトなどのクラシック音楽だけが趣味だった友人が、どういう風の吹き回しか、最近陶磁器に凝り出し、どこか地方へ行くたびになかなかいける焼き物を持ちかえり、それを家の本棚や茶ダンスの上、ステレオのスピーカーの上にまで並べている。彼はいかにも玄人めかして、「ぼくは、窯変がすきだなあ」という。彼の話はこうである。―陶磁器の展覧会である展示品を見つけたが、釉(ゆう)
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 5 PDF HTML
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307. 三彩窯
ゴビの砂漠で討論する去年の秋のことだ。私は文学界の友人数名と打ちつれて西北の旅に出かけた。一日、時間はもう昼ちかい。汗ばむ陽気のなかを車は敦煌西方をすでに三時間余りもつっぱしっていたが、宿駅や村落らしいものが見つからない。用意してきた水はとっくになくなっていた。「このさきの方でどこかひと息入れられるところはないかね?」と誰かが案内人にきいた。「あの砂山のところまでゆくと湖があります。湖があるところ
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 6 PDF HTML
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308. 汝窯
筆洗の選択ある晩のこと、友人の娘さんが訪ねてきた。なんでも美術学校の入学試験にパスしたというので、父親がお祝いに焼き物の筆洗を買ってきたのだが、娘はどうもその筆洗が気に入らない。そこで、父親に、おじさんのところに行ってごらんといわれてやってきたという。私はささやかなコレクションのなかから、河南の鈞窯が最近宋紫釉を模倣して焼いた、鼓釘洗いをさがし出して彼女の前においた。私はこれならよろこんでほしがる
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 7 PDF HTML
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310. (新)南宋官窯
落胆のあとの希望数年前のことである。ひとりの友人が南方からはるばる北京までやってきてわたしの家の客となった。この客は陶磁器関係の仕事をしている。それでわたしも上等の茶器をだしてお茶をすすめた。ところがかれは茶器にはいっこう興味を示さず、やおらカバンの中からひとつプラスチックの茶碗をとりだして「この湯のみでお湯を飲ませてほしい。じつは、ぼくは陶磁器とは縁を切ってしまったものだから」と言った。一晩よも
Author: 韓瀚 Year 1979 Issue 9 PDF HTML