Current Location: Home » Full Text Search
Your search : [ author:作者 馬宝山
え· 李耀林] Total 932 Search Results,Processed in 0.115 second(s)
-
11. 愛の正体
彼女の胸に顔を埋め、うれしそうに夫が聞いていたものは……彼がどうして自分のことを好きになったのか、彼女はずっと分からなかった。彼は子どものように彼女の懐に顔を伏せ、耳をぴったり胸につけて、彼女の心臓の鼓動を聞くのが好きだった。「心臓の鼓動に耳を傾けて」などというのは彼女が大学時代に書いた詩の一節である。彼女は小さい頃から自分の心臓の鼓動が速すぎることに気がついていた。ときどきちょっと激しい運動をし
Author: 作者 苦苓 え·李耀林 Year 1996 Issue 2 PDF HTML
-
12. “マオタイ物語”(茅台酒里生故事)
廉潔郷の雑貨屋の店主、劉慶豊は頭のいい明るい青年だ。だがこの一カ月、あることで頭がおかしくなってしまった。ある晩、店を閉めて横になると、誰かが戸をたたく。開けると、李郷長だった。手に一本マオタイ酒を持ち、笑いながらこう言うのだ。「年輩の上司がマオタイを一本くれたんだが、飲むのはもったいないんで、おまえのところに置いて売ってほしいんだ。値段はヤミより低い、二百元でいい」劉慶豊は小さな目をグルグル回し
Author: 梅承鼎 え·李耀林 Year 1990 Issue 10 PDF HTML
-
13. 緑玉の腕輪(绿玉手镯)
祖母[注释1]は緑玉の腕輪を持っている。先祖代々のものだ。祖母は八人子をもうけたが、生き残ったのは母とおじ[注释2]だけ。そして、それぞれ結婚すると、祖母はいつも、こんなことをくどくどと言うようになった。「いつか、孝行してくれたものに、玉の腕輪をやる」と。おばは祖母にとても親切で、少しの欠点もないくらい、キメ細かに面倒を見てくれる。祖母は「到口酥」[注释3]というお菓子が好きで、おばは毎月給料をも
Author: 楊華敏 え·李耀林 Year 1991 Issue 1 PDF HTML
-
14. ミニ雕刻(微 雕)
一本の髪の毛に詩を一首彫って、そこに絵を配す。しかも力強さが感じられ、画境には深い意味がある。この広い世界に、これほど絶妙な技を見せてくれる人は何人いるだろうか。梁公は、まさにその一人である。彼は五十前だが、そのミニ彫刻は国外で話題をさらい、『世界名人録』に彼の名が載った。ひげを蓄え、髪を長くしたが、これこそ芸術家の風貌そのものだ。彼は地区人民代表大会[注释1]の代表である。代表は大会に参加する。
Author: 呉金良 え·李耀林 Year 1991 Issue 5 PDF HTML
-
15. 春の雨
春の雨が音もなく降りつづけ、美しく彩られた華やかな都市は全体に薄い紗がかかっていた。淡い紫色のレインコートを着た彼女は、肩までたれる長い髪を乱して、ものうい表情で歩いている。帽子はかぶらず、かさもさしていない。細かな“雨の粉”が亜麻色のカールした髪にふりかかる。どこへ行こうとしているのだろう。彼女は知らない。ただはっきりしているのは、自分がいましがた夢からさめ、失望と暗い気持ちを抱きながら、現実の
Author: 楊伝球 え·李耀林 Year 1991 Issue 8 PDF HTML
-
16. 釣り
阿三は急に魚が食べたくなって、全身がうずうずしてきた。妻と一緒に市場をしばらくぐるぐる回ったが、結局は、普段食べでいる物を買って帰ってきただけ。仕方がない、魚は高くて妻がもったいないと言うし、阿三も言いにくいのだ。家に戻ってペッドに横になる。気持ちは晴れず、しょぼくれた様子で、しゃべる気にもなれない。妻はくどくどと小言を言いっぱなしで、しまいには恨みをぶつげる始末。給料が少ない、やらなきゃいけない
Author: 国建護え·李耀林 Year 1992 Issue 4 PDF HTML
-
17. 家
兄は新しい家を建てたので、古い家を安く売ってやろうと思い、弟のところへ行った。古い家は先祖からのもので、兄と弟が三間のうち半分ずつ使っていた。兄は新築して出て行ったが、弟は建てていないので「間半のところにまだ住んでいる。そのまま住み続けるなら、弟に自分の一間半を安くして売ろう、と兄は考えたのだ。屋根も壁もつな毒.て.いるので、壊すこともできないからである。他人に売ろうとしても、売れるわけがない。弟
Author: 呉慧生 え·李耀林 Year 1992 Issue 6 PDF HTML
-
18. 井戸ばたで
東の空が白み、天富はベッドから起き上がった。彼は青色の半ズボンをはき、汗取りを肩に掛け、はき古したサンダルをつっかけ、バタバタッと勝手口の戸を開けて井戸ぱたに出た。’路地に足音がする。天富は一瞬ドキッとして、きのうの晩に作っておいた木の札を急いで井戸のわきに差し込んだ。心臓がゴトゴトッと音を立てている。彼は一口大きく息を吸って、どんなふうに口を開いたらいいか考えた。人が近づいてくる。生産隊の李六叔
Author: 雷開洪え·李耀林 Year 1992 Issue 10 PDF HTML
-
19. 窯火(ようか)
雪の夜、白い狐のような影がすらりと目の前に立った窯(かま)に火を入れて三日三晩、高温の加熱期間はもう終わり、いよいよ火を弱めて低温にする段階になった。通風口からひとつ取り出してみると、今度の窯のぶんは、できぐあいがとてもいい。男はひと息ついた。窓の外に冷えびえと舞う雪と、窯のさかんな火を眺めつつ、男はまたあの女、三十すぎの寡婦のことを考えていた。あれは、山に入って窯を焼きはじめた最初の日だった。女
Author: 作者 郭沛光 え·高栄生 Year 1993 Issue 3 PDF HTML
-
20. 苗秀
殴る蹴るの乱暴狼藉、顔は血まみれとなり、肋骨一本折られた上……苗秀(ミヤオシウ)は鉱山労働者ですが、たいそうな清潔好き。まだ独身で寮に住んでいたころから、彼の部屋はいつも窓がきれいで、机にもちり一つ見かけませんでした。調度は上品、折りふし香も立てたので、たえず香気がただよっています。そんな彼のところへ、前後して三人の男が同居したのですが、結局はひけ目を感じてそそくさと逃げ出す始末。苗秀は仕事から帰
Author: 作者 陳平 え·郭立煌 Year 1993 Issue 5 PDF HTML