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Your search : [ author:再話開 華
え 高宝生] Total 1499 Search Results,Processed in 0.173 second(s)
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11. とんち男と高利貸
むかし、大金持の旦那がいた。大変なしみつたれで、命よりも金の方が大切だという男だけに、その男から金を借りると、目の玉がとびでるほど高い利子をとられた。おまけに利子が利子をうんで、またたくまに、田畑や家を賣りはらつても、娘を賣つても返しきれないほど、借金をしよいこまねばならなかつた。びんぼうな村人たちは、ほとんどこの高利貸からひどい目にあわされ、誰ひとりとしてその高利貸をうらまぬものはなかつた。なん
Author: 整理·華仁 え·虹霖 Year 1960 Issue 1 PDF HTML
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12. 朝
あと十五分で列車はプラツトホームにはいる。が、わたしの考えはまだきまらない。降りたものかどうしたものか……。もともと帰り途の計画は、家にいる間に決めてあつた。帰りに五日間をあてる。三日間は汽車、半日が連絡船だ。これでまだ一日あまりのこる勘定になるが、それは、広州(クワンチヨウ)でぶらぶらするか、それとも、勤務先に一日早目に帰つて、同僚たちと、今度の帰省で見たり聞いたりしてきたことを話しあうのもわる
Author: 王愿堅 え·華克雄 Year 1960 Issue 4 PDF HTML
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13. 主人公
もう夜の七時すぎ、日勤の退勤時間がすぎてもう三時間以上になるというのに、ローラー職場の燈は明かあかとついて、職場の者たちはまだ作業にうちこんでいた。小さな作業室には精紡機からとりはずされて来た皮製ローラー、皮のリング、鉄製の小ローラーが山積みになつていた。それなのに、外からはまだ手押車に積まれてどんどん運ばれてくる。分解するもの、布切れで拭くもの、組み立てるもの、誰もがわき目もふらずに働いている。
Author: 唐克新 え·華克雄 Year 1960 Issue 12 PDF HTML
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14. 延の種子
一県の党委員会の主催で春季農耕生産会議が、まる三日間もひらかれた。目のまわるような忙しさで、新聞さえまんぞくによめない。夕食のあと、わたしはなにげなく二日まえの新聞を手にとった。「貧農·下層中農のすばらしいあとつぎ」という見出しにひきつけられ、わたしはたんねんにその記事を目で追った。内容はつぎのようなものであった。厳冬の早朝は、もやがたちこめていた。紅旗(ホンチー)人民公社の春風峪(ウンフオンユイ
Author: 華彤 え·翁乃強 Year 1975 Issue 8 PDF HTML
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15. 傷痕(しょうこん)
旧正月の大晦日の夜。列車の窓からは遠く近く色とりどりの灯火が見えがくれするだけで、ほかには何も見えない。もう一九七八年の春節なのだ。暁華(シアオホワ)は窓から目をはなして、時計を見た。ちょうど零時をすぎたところだった。額のおくれ毛をそろえて長いお下げを後にやり、少しはれぼったく充血した目をこすると、彼女は窓ぎわに掛けてある古びたショルダーバッグから、小さい鏡をとり出した。そして車内灯のほうに向きな
Author: 盧新華 え·陳玉先 Year 1979 Issue 1 PDF HTML
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16. 壁
新任の省最高責任者を待ち受けていたものは何か。 官僚主義にメスを入れる。余志亮はこの、省(地方行政区画)の党委員会第一書記(知事クラス)として赴任してきたばかりだ。宿舎も三カ所ばかり見たが、気に入ったのがないので、家族はまだ越して来ていない。とりあえず省の来賓用宿舎である賓館に泊っている。省委員会の主だった人たちと顔合わせをしただけで、まだ仕事を始めないうちに、ひどい風邪で寝込んでしまったのだった
Author: 韶華 え·潘世勲 Year 1980 Issue 7 PDF HTML
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17. 絵師
一指折りかぞえてみれば、もう三十年の余もこのあたりに足を向けていなかったのだ。「無風三尺土,有雨一街泥」といわれた「自新路」の第一監獄前の道もいまはアスファルトになり、「梨園先賢祠」のあった「松柏庵」のところには大きなビルが、京劇の名優楊小楼の墓地のそばには学校が建っている。ここから南へゆくと「鸚鵡塚」と「香塚」があって、若いとき甘子千は、そのあたりによく写生に行ったものだ。いまでも碑文のはじめの
Author: 鄧友梅 え·華其敏 Year 1982 Issue 2 PDF HTML
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18. プラットホーム(上)
列車が市街地を走り出たのは、もう夜もふけたときだった。遠さかるにつれて、町の灯りと喧騒は後方に棄て去られた。天候はよくなく、車窓の外はまっくら、頭上には暗雲がたちこめている。ひっそりしたなかに、ひと荒れきそうな気配であった。闇夜と悪天候は、旅客に心理的な負担をもたらさずにはおかない。いましがた窓にへばりついて都会の夜景に見いっていた旅客も、にわかに精気を失った。あくびをする、背伸びをする、何度とな
Author: 尤鳳偉 え·華其敏 Year 1983 Issue 2 PDF HTML
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19. プラットホーム(下)
四月、二人のペンキ職人は市の郊外五十キロほどのところにある洛山のふもとにやってきた。二人は、廟のペンキを塗るという興味ある仕事を受けもったのだ。この廟は海清宮といって、美しい風景のこの洛山遊覧地で、二十四景の筆頭にあげられている。「文化大革命」の初期、この格別の風格をそなえた道教の寺は、一朝にして破壊の憂き目にあい、いま、修復のさいちゅうであった。宋亮はこの仕事につよい興味をもち、彼女の意見を求め
Author: 尤鳳偉 え·華其敏 Year 1983 Issue 3 PDF HTML
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20. 細雨(上)
一柳茵(リュウイン)はもうずっと目覚まし時計を使っていない。習慣になったのだろう、毎朝目を開けると、きまって五時十分前だ。柳茵は寝返りをした。投げ出していた腕が重い。耳もとで子供の泣く声がしたようで、はっとしてこんどはほんとうに目をさました。思わず手をのばして子供が寝ていた所をさぐってみるが、赤と緑の格子柄の寝ござには誰もいない。朵朵(トウオトウオ)はもういない。あの小さないのちはたった三年で逝っ
Author: 達理 え·郭偉華 Year 1984 Issue 6 PDF HTML