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Your search : [ author:郭文場] Total 15 Search Results,Processed in 0.285 second(s)
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1. 冬(とう)虫(ちゅう)夏(か)草(そう)
わたしの友人の一人に、虚弱体質で、とくに呼吸器の抵抗力が弱いため、しじゅう風邪をひいていたひとがいた。わたしと会うたびに、かれはよくハンカチを手に溜息をつき、「ああまた風邪にやられた」といいながら、セキをするやら、くしゃみをするやらで、鼻をぐずぐずさせ、涙もたえないという具合だった。が、ここ数年らい、すっかり血色がよくなり、体つきもがっしりしてきた。バスケット·ボールにうち興ずるかれの姿もよくみか
Author: 郭文場 Year 1975 Issue 9 PDF HTML
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2. 麝香(じやこう)
子供が小さいときには病気にかかりやすい。とくに季節の変わり目や気候不順のさいには、カゼをひきやすく、それがもとで扁桃腺炎にかかる。そうしたとき、中国でよく使われる薬に「六神丸」がある。この薬はよく効くので、中国ではどの家庭でも常備している。薬効高い「六神丸」は、どんな薬種でつくっているのだろうか。それにはいくつかの薬種が用いられているが、主な材料は麝香(じやこう)である。麝香とは麝香はジャコウジカ
Author: 郭文場 Year 1976 Issue 3 PDF HTML
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3. 蛤蚧(こうかい)
中国南部に位する広西チワン族自治区では「男は蛤蚧酒をのみ、女は毛鶏酒をのむ」という。その話は、はやくから耳にしていたが、しかし、それがどういう意味なのかよくわからなかった。最近、筆者は広西を旅する機会にめぐまれて、その話についていくらか理解を深めることができた。つぎに紹介するのは、そのうちの蛤蚧についてである。毛鶏(ヤマドリ)、毛鶏酒(ヤマドリをつけた酒)についてはまたの機会にのべることにする。な
Author: 郭文場 Year 1977 Issue 11 PDF HTML
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4. 何首烏(ホーソウウー)(かしゅう)
中学時代、ひじょうに親しくしていた友人がいた。頭が切れ、そのうえ美少年だったから、学校の文芸クラブで活躍していた。ところが、どうしたわけか、あと半年で卒業するというころに、彼の髪はしだいに白くなった。そのため、朗らかだった彼は、そのころからすっかりふさぎこんでしまった。演芸の夕べなどを開いても、ふたたび彼の姿をみかけることができなくなった。口の悪い学友は、彼に「羊のシッポ」という仇名をつけていた。
Author: 郭文場 Year 1978 Issue 8 PDF HTML
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5. 蛤士蟆(アカハラガエル)
子供の頃のことアカハラガエルというと思い出さずにいられないのは、わたしが子供のころ東北の農村で暮らしていたときの面白いできごとである。わたしは子供のころ魚を捕るのが大好きであった。いつも穀物がよい香りをただよわせる季節になると、近所の小僧たちといっしょに池や小川にいって、魚を捕ったものである。秋の魚やエビは、よく脂がのっている。魚やエビは池や小川の浅いところにいるから、それをつかまえるのはわけない
Author: 郭文場 Year 1978 Issue 10 PDF HTML
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6. 芍薬
春のおわり頃から夏のはじめ頃にかけて、みなさんが中国の都市や農村、公園や住宅の中庭をまわられるなら、きっとそのゆく先ざきでシャクヤクの美しい姿と芳香を目にされ鼻にされることと思う。シャクヤクと中国人の関係は、サクラと日本人のそれに似たところがある。古今、どれだけの人がシャクヤクのために詩を詠じたか知れない。中国の昔の人はシャクヤクを花の王国の「宰相」とよんだ。「花の宰相」の由来シャクヤクをなぜ「花
Author: 郭文場 Year 1979 Issue 6 PDF HTML
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7. 天麻
筆者が取材中に聞いた昔話である。昔、昔その昔、おじいさんが息子夫婦、それに孫と四人で住んでいた。かわいそうに、年をとったおじいさんはいつの間にか、偏頭痛や手足のまひなどで、足腰もすっかりたたなくなってしまった。ところが息子夫婦ときたら世にも珍しい親不孝者である。おじいさんが役に立たなくなったと見ると、ろくな物も食べさせなくなってしまった。はじめのうちは自分たちの食べのこし、後になると飼い犬の食べの
Author: 郭文場 Year 1979 Issue 7 PDF HTML
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8. 香榧子
一月はじめのある日、友人が杭州からカヤの実を持って来てくれた。わが家の坊主とその姉は大喜びだった。一時もじっとしていない五歳の子供はさっそくそれをかじりながらいった。「わー、いいにおいだ!ピーナッツよりもおいしいや。そうだろ。姉ちゃん」小学校の二年になる娘の方は、弟の前ではいつも物知り顔をするのだが、今度もしかつめらしくいう―「そりゃ、あたりまえよ。だって名前に『香』の字がついているじゃない。香油
Author: 郭文場 Year 1979 Issue 8 PDF HTML
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9. 兔(ウサギ)肉
食わずぎらいのかたに筆者は、幼いころから、ウサギの肉はくさみがあって、うまくないと聞かされてきたので、長じても食べる気がしなかったものだ。ところが、いまでは大好物である。食わずぎらいから好物に変わったてんまつを白状しよう。実は、わが家では妻も子どももウサギの肉が好きで、とにかく食べてごらんなさいとしばしばすすめられてきた。調理法さえよければおいしいし、くさみはない、とくに家ウサギは全然おかしな味が
Author: 郭文場 Year 1979 Issue 9 PDF HTML
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10. 冬虫夏草
友人の劉君は中学校(日本の中学·高校をあわせたもの)の教師である。昔は体質が虚弱で、すぐ風邪を引いた。世間でよく言うように、病気というほどのことはないが、しょっちゅうどこか悪いわけだ。またかと思うのだが、彼に会うと、頭をふっては溜息をつき、 「しょちなしだ。また病気だ」と言う。四十を出たばかりだというのに、ことばに力がなく、ひたいにはもう何本もしわがよって、まるで若年寄といったていたらくだ。彼が自
Author: 郭文場 Year 1982 Issue 8 PDF HTML