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Your search : [ author:樊慶栄 え·華其敏] Total 6 Search Results,Processed in 0.084 second(s)
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1. 隣人の情
わたしたち一家は、長屋式の家に二十年以上も住んでいた。一部屋だけ、それも北向きなので、一年中日はあたらない。去年転職して、ようやく住まいはいくらか良くなった。アパートに住めるようになったのである。それでも引っ越しの日、なんだか寂しい気持らにさせられた。「故国離れがたし」といったものではない、良き隣人と別れるのがつらかったからだ。長屋だから、六家族がいっしょに一つの小さな台所を使う。食事どきは、六つ
Author: 樊慶栄 え·華其敏 Year 1988 Issue 2 PDF HTML
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2. 絵師
一指折りかぞえてみれば、もう三十年の余もこのあたりに足を向けていなかったのだ。「無風三尺土,有雨一街泥」といわれた「自新路」の第一監獄前の道もいまはアスファルトになり、「梨園先賢祠」のあった「松柏庵」のところには大きなビルが、京劇の名優楊小楼の墓地のそばには学校が建っている。ここから南へゆくと「鸚鵡塚」と「香塚」があって、若いとき甘子千は、そのあたりによく写生に行ったものだ。いまでも碑文のはじめの
Author: 鄧友梅 え·華其敏 Year 1982 Issue 2 PDF HTML
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3. プラットホーム(上)
列車が市街地を走り出たのは、もう夜もふけたときだった。遠さかるにつれて、町の灯りと喧騒は後方に棄て去られた。天候はよくなく、車窓の外はまっくら、頭上には暗雲がたちこめている。ひっそりしたなかに、ひと荒れきそうな気配であった。闇夜と悪天候は、旅客に心理的な負担をもたらさずにはおかない。いましがた窓にへばりついて都会の夜景に見いっていた旅客も、にわかに精気を失った。あくびをする、背伸びをする、何度とな
Author: 尤鳳偉 え·華其敏 Year 1983 Issue 2 PDF HTML
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4. プラットホーム(下)
四月、二人のペンキ職人は市の郊外五十キロほどのところにある洛山のふもとにやってきた。二人は、廟のペンキを塗るという興味ある仕事を受けもったのだ。この廟は海清宮といって、美しい風景のこの洛山遊覧地で、二十四景の筆頭にあげられている。「文化大革命」の初期、この格別の風格をそなえた道教の寺は、一朝にして破壊の憂き目にあい、いま、修復のさいちゅうであった。宋亮はこの仕事につよい興味をもち、彼女の意見を求め
Author: 尤鳳偉 え·華其敏 Year 1983 Issue 3 PDF HTML
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5. 山番の小屋(上)
中国南方の、霧界山という森林地帯に、仙女のように美しい「瑤族のあねさま」のうわさが伝わって、もう何年にもなる。霧界山のずっと奥の、緑毛坑というところに、営林場の番をしている盤青青という名の美しい瑤族の娘がいて、山で生まれ山で育って、婿を迎えたことまでは、営林署の若い者も聞いて知っている。だが、緑毛坑は営林署のある町から五〇キロも奥だ、青青は一度しか出てきたことがないので、仙女のようだといわれる姿を
Author: 古華 え·華其敏 Year 1987 Issue 4 PDF HTML
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6. 山番の小屋 (下)
まだ「文化大革命」が終らない頃の話である。近代文明からかけはなれた霧界山の奥の、緑毛坑という所に、片腕の都会の青年李幸(リシンフ)福が来たことから、美しい瑤族の妻をもつ営林場の番人王木通(ワンムウトン)は、ある種の予感に嫉妬圧する。緑毛坑の日々はまた眠っし、李を制たような静寂に戻ったが……この年、冬に入っても雪がなく霜ばかりという異常な気候が続いた。老人たちは「これはよくない兆候だ、冬も春もカラカ
Author: ●古華 ●え·華其敏 Year 1987 Issue 5 PDF HTML