Current Location: Home » Full Text Search
Your search : [ author:写真·文 魯忠民] Total 867 Search Results,Processed in 0.101 second(s)
-
831. 将来の夢
彼らとの出会いで、私の人生は変わったのかもしれない。北京に来て最初に知り合ったこの二人は、電話番号をメモするのを見たことがないほど記憶力がよく、毎朝六時から勉強を始めるほど勤勉で、そして、いつでも、友達や家族を大切にする、びっくりするほどに優秀な人たちだった。北京大学の英語学部に通っていた二人は、「一生懸命勉強して、いつか外国に留学するのが夢」とよく話していた。あれから何年たっただろう。公費留学生
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 1 PDF HTML
-
832. 焼きいも売り
ある日、バスの窓からこの焼きいも売りのおじさんを見つけた。子どもを背負ってゆったりと自転車をこぐ姿がほほ笑ましくて、次の停留所でバスを降りると、私は街の中を走っておじさんを追いかけていた。彼に追いついて、そして三十メートルほど先に行ったところで、カメラを向けた。自転車と競争していた私の姿がおかしかったからか、おじさんは期待以上の笑顔で応えてくれた。北京で写真を撮っていて感じることがある。中国の人は
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 2 PDF HTML
-
833. ペットブーム
北京の街で見かける動物といえば、数年前まで、食用にされるウサギやタヌキくらいだった。ところがペットブームの到来で、最近は街のあちこちで愛玩用の動物に出会う。それが動物たちにとって幸せなことかどうかはわからないが、私はとても嬉しい。動物たちが考えていることはおそらく、食べる、寝る、子孫を残す、の三つくらいだと思う。けれども人は、もう少し複雑な世界に生きていて、思い悩むこともそれだけ多くなっていく。そ
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 4 PDF HTML
-
834. マネキン キッス
私は、人形が部屋においてあると、怖くて夜トイレに行けない子供だった。大人になって、さすがにトイレを我慢することはなくなったが、今でも、人形には魂や感情があるのかなと思っている。突然動き出したら、驚いてひっくり返ってしまうかもしれないけれど、そんな世界を想像すると、スリリングで楽しい。おとぎ話では、人間になろうとした人形たちはみな、人形の世界から破門されてしまう。人も、自分たちの村から他の世界に飛び
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 5 PDF HTML
-
835. 北京の夏
北京の夏は、毎年いきなりやって来る。梅雨がなく、春が短い北京では、オーバーを脱いだと思ったら、心の準備も間に合わないまま、半袖のシャツを着て歩くようになる。日中の気温は40度をかるく超え、午後12時から4時までは、昼寝以外、本当は何もしたくない。決死の覚悟で機材をかついで街に出ると、水分補給のための鉱泉水(ミネラルウォーター)を求めて、売店から売店へと、はうように進むことになる。でも、私は、北京の
Author: 写真/文·佐渡多真子 Year 2003 Issue 7 PDF HTML
-
836. 熱狗(Re gou)
ある夏の日、北京のペット売り場で、生まれて二カ月の子犬がミネラルウォーターのボトルを枕に昼寝をしていた。こんなに小さな子犬でも、水の上が冷たいとわかるなんて、おりこうなんだなーと思う。そういえば、ちょっとIQ低めの我が家の犬も、季節ごとに、お気に入りの場所があるし、友人の猫も、いつでも陽だまりを見つけ、うらやましいほどに、デーンとくつろいでいる。動物のかしこさは、どこも同じかもしれないけれど、北京
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 8 PDF HTML
-
837. フラフープ
日本でフラフープが流行ったのは一九五〇年代だろうか。私が小さいころには、もうすでにあまり盛んではなかったけれど、それでもかすかな記憶が残っている。王府井で見かけた子供の姿が、ふと、そんなころの思い出と重なった。ちょうど日本で高度成長期が始まったころ、我が家は小さな団地に引っ越し、私はうれしくて部屋中はしゃぎまわっていた。初めて使った冷蔵庫を何度も開け閉めして喜んだり、洗濯機の回るのをいつまでもいつ
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 9 PDF HTML
-
838. 愛国心
国慶節の天安門広場は、中国各地からの家族連れでにぎわう。私は毎年、そんな姿を少しうらやましく見つめている。中国に来て間もないころ、中国人の友達に「あなたは中国が好き?」と尋ねたことがある。そうしたら、「え?何でそんな当たり前なことを聞くの?」と、目を丸くされてしまった。たしかに、自分の国を愛するのは、家族や故郷を思う気持ちと同じように自然なことかもしれない。日本は、世界的に見れば、治安もいいし、恵
Author: 写真/文佐渡多真子 Year 2003 Issue 10 PDF HTML
-
839. 自由市場
東郊市場は、食品、家電、昔懐かしい日用雑貨まで何でもそろう、北京でも有数の自由市場。売り子さんに営業時間を聞いてみると、「太陽が昇ってから、沈むまで」と、答えが返ってきた。ここの人たちは、時計に縛られないで暮らしているようだ。そんな彼らの後ろには、現代城(SOHO)という、住居·オフィス一体型の最新マンション群がそびえ立つ。現代城の住人は、編集者や芸術家、起業家など、クリエイティブで先進的な仕事を
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 11 PDF HTML
-
840. 氷湖
北京に来て、初めて凍った湖の上に立ったとき、「氷が割れたらどうしよう」と、ドキドキしながら水の上にいるという不思議な感覚を楽しんだ。北京の冬は寒い。雪こそ多くないが、乾燥した気候の中、マイナス15度まで気温が下がると、心の芯までジーンと冷え込むつらい季節となる。けれども、そんな寒さに凍った湖は、子供たちの格好の遊び場となり、椅子型のそりをこいで、何時間も疲れを知らずに遊ぶ子がいる。「寒くないの?」
Author: 写真/文 佐渡多真子 Year 2003 Issue 12 PDF HTML