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Your search : [ author:張記書 え·高栄生] Total 23 Search Results,Processed in 0.101 second(s)
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11. 商売繁盛
夜更け。会議から帰ってきた夫が、枕辺で、“絶対秘密情報”を話したばかりに、ふとっちょおばさんは、もう眠れなくなってしまった。明日から石けんが値上がりする、というのである。ふとっちょおばさんは、通りに面して小さな雑貨屋[注释1]を開いているのだ。以前には、県の町に、一軒の飯屋、一軒の商店でこと足りていた。ところがどうだろう、今では、三歩あるけば一軒の飯屋、二歩あるけば一軒の小商店、という具合に、どの
Author: 李理 え·高栄生 Year 1989 Issue 9 PDF HTML
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12. 兄弟分
ピンクのネオン、空色の看板、まだペンキのにおいがするドアや窓。「得楽食堂」四つの大きい字が夜のとばりの中に輝いている。やせた若い男がその下にじっと立って通りをあちこち見ている。「ウン、あいつだ!さすが兄弟分だぜ」得ちゃん[注释1]は、食堂の前に立っているのが仲のいい兄弟分の楽ちゃん[注释2]だと分かると、さっきまで鉛をつぎ込まれたようだった両足に急に力が出て、パッと近づいて大声で呼んだ。「やあ!楽
Author: 張衛華 え·高栄生 Year 1989 Issue 10 PDF HTML
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13. 蘭草幽幽
尚義が人事庁の庁長を退いてからというもの来訪者は次第にまれになった。向かいのドア[注释1]の、新しく起用された林庁長のところは、それにひきかえ、門前、市をなしている。「これからは、私は静かな日々を送るのだ」尚はいつもこう思っている。尚と老妻は、ベランダに沢山の花を植え、かわいいマミジロを何羽か飼っている。これが鳴くと、深山の原始林にでもいるようで、二人はうっとりしてしまう。だが、ここは原始林ではな
Author: 方言 え·高栄生 Year 1989 Issue 12 PDF HTML
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14. 虚報(假报道引起的……)
この山里で、選挙で選ばれなかった郷長は、彼が初めてだ。いま、彼は、なんとも言いがたい複雑な気持ちで寝具をかたづけ、旅立ちの用意をしている。北京ジープが玄関の外で、出発を促している。二年前に農業大学を卒業したあと、彼は熱い思いを胸いっぱいに抱いて、この貧しい村にやってきた。自ら望んでのことだ。リュックに手提げのあみ袋。袋には歯みがきセット、せっけん、それに経済管理学の本が数冊入っている。きょう、彼は
Author: 石中元 え·高栄生 Year 1990 Issue 8 PDF HTML
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15. おまる
彼女はふと眼を開けた。とうとうと流れる水の音なのだろうか、それとも、土手の上からさわさわと風に吹かれてきた砂の音なのだろうか。彼女は耳をたてて聞きながら、彼の肩を軽く揺すった。彼はニコッと笑って眼を開けると、彼女をギユッと抱きしめた。「ねえー、聞いて、窓の外よ」彼女は息をこらし、耳をすます。庭で地面を掃く音が聞こえる。老人が何度もしわぶきをしている。アッ、しゅうとだ。「いかん、起きなきゃ」「あなた
Author: 李東東 え·高栄生 Year 1991 Issue 4 PDF HTML
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16. 拍手
王局長の報告は、毎回そうだが、熱烈で、暴風雨のような、ときには雷鳴にも似た拍手で終わる。局長はこれを自慢にし、悦に入ったり、自分が博学であることを示そうとするのだ。ひとつの言葉に重みをもたせ、アッと言わせるような効果を上げる、これが彼の報告の大きなねらいだ。そう、局長はきょうもまた、全局の幹部職員に報告をすることになっている。その一週間前だが、彼は馬秘書にこう説明している。理路整然として内容が充実
Author: 劉世海 え·高栄生 Year 1991 Issue 7 PDF HTML
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17. 孫老人と井戸( 孙老大和他的井)
孫老人の一生でいちばん光栄ある仕事は、すばらしい井戸を掘ったことだ。そのために、老人は八石(こく)の豆を売った。その井戸は、一般の家のものより倍も深い。深いし、水も豊かで、どんなにひどい干ばつでもかれることはない。占い師はこの井戸を見て、こんなふうに言った。「じいさまよ、お世辞言うんじゃないが、おまえさんの井戸は竜泉に掘ってあって、天や地や水の気が通じ合ってるからな、どげなことあっても、かれるなん
Author: 金祥 え·高栄生 Year 1991 Issue 11 PDF HTML
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18. 大水
柳大篶は「やれやれ」と一言いうなり、そのままオンドルの上に腹ばいになった。彼は疲れ切っていた。柳条坑に大水が出るのを人びとはいちばん恐れているが、それがまた、大水になったのである。彼の家は高台にあるので、どうってことはないが、多くの村びとは低いところに住んでいるから、彼らが息子や娘といっしょに大水と闘っているときに、自分だけは家で寝ている、なんてことは彼にはできない。ドアが急に開いて、湿り気のある
Author: 桑苗 え·高栄生 Year 1992 Issue 5 PDF HTML
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19. 窯火(ようか)
雪の夜、白い狐のような影がすらりと目の前に立った窯(かま)に火を入れて三日三晩、高温の加熱期間はもう終わり、いよいよ火を弱めて低温にする段階になった。通風口からひとつ取り出してみると、今度の窯のぶんは、できぐあいがとてもいい。男はひと息ついた。窓の外に冷えびえと舞う雪と、窯のさかんな火を眺めつつ、男はまたあの女、三十すぎの寡婦のことを考えていた。あれは、山に入って窯を焼きはじめた最初の日だった。女
Author: 作者 郭沛光 え·高栄生 Year 1993 Issue 3 PDF HTML
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20. 茶仙
彼らはため息をついて言いました。スゴい―まことの茶仙だ!謝宝興は百歳の仙寿をむかえました。それは全く以て、お茶をたしなんできたおかげでした。謝屋は、数千人の人が住む大きな村で、平野に面し、後ろに丘をひかえています。謝宝興の父はお茶の葉だけを売るささやかな店をやっていましたので、謝宝興も子どものときからお茶にどっぷりつかって大きくなりました。父親は言ったものです。この子には天分があるぞ。いちど竜井茶
Author: 作者 姚錦波 え·高栄生 Year 1994 Issue 3 PDF HTML