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Your search : [ author:本誌·林望] Total 7 Search Results,Processed in 0.081 second(s)
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1. 観光開発と環境保護のはざまで―武夷山の取り組み
私の周囲にはいわゆる「中国狂い」が多い。中国各地を旅する彼らは、しばしば「あそこは終わってるよ」という言葉を口にする。「終わってる」というのは、つまり「ダメになった」という意味だ。「観光客が増え過ぎ」「汚い」「騒がしい」などなど、彼らをがっかりさせる要因は色々あるのだが、その多くは「俗化」という問題に結びついているようだ。旅行者、特に中国の景勝地を旅する人は、これから訪れようとする土地に一種の幻想
Author: 本誌·林望 Year 1999 Issue 12 PDF HTML
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2. 中日交流の新しい息吹
昨年の八月中旬、東京、三重、愛媛など一都八県の高校生十一人が北京を訪れ、地元の高校生と交流した。彼らは「第四回大修館賞全国高校生作文コンクール」の最優秀賞受賞者たち。計四日間という駆け足の北京旅行ではあったが、一人ひとりの胸には深い印象が刻まれたようだ。中日の国交正常化から二十七年。歴史上の問題もあり、これまでの中日友好活動では双方に独特の「ぎこちなさ」がつきまとっていたように思う。しかし、今回交
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 2 PDF HTML
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3. 煙と共に消えゆくもの
宣武大街に面した南堂教会。その門前の木陰に男たちが集まり、囲碁やトランプに興じている。人垣に加わって見物していた私のところに、ふと、焦げ臭いような、それでいてかすかに甘いようなにおいが漂ってきた。振り返ってみると、男たちの賑わいから少し離れた所に、青い人民帽と人民服姿のおじいさんが座っている。においの元は、おじいさんの左手に挟まれたタバコだった。遠くを見つめながら、時折、思い出したようにタバコを口
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 8 PDF HTML
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4. 羊の肉 都市に厚みを添える人々
車一台がやっと通れるほどの細い路地。コーランに似た切なげな民族音楽が聞こえてくる。店先に吊された羊の脂肪の匂いが鼻の奥に貼り付く。気を付けていないと、自分が北京にいることを忘れてしまいそうだ。道端に佇む人の姿も、また様々。栗色の髪、白い肌、スッと通った鼻筋。彼らは青みがかったその瞳で、無遠慮な視線を送ってくる。そんな時に体の中で感じるザワザワした感じが、きっと「異文化」と接触することの実感なのだと
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 9 PDF HTML
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5. 待合室に流れる時間
たしかそのにおいは、もっと濃厚に立ちこめていたはずだった。無数の人々の汗や息、熟れた果物、薫製肉……。雑多なものが溶け合った、混沌としたにおい。けっして気持ちの良いものではないのだけれど、なぜかそれを嗅ぐたびに私の心は浮き立った。たぶんそのにおいが、どこかで旅の記憶と結びついているからだろう。しかし、久しぶりに北京駅を訪れてみると、そのにおいの存在感は随分薄くなっていた。私はなんだかはぐらかされた
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 10 PDF HTML
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6. 水澄んで変わるもの
竜鬚溝。北京は天橋の東にある有名などぶ川で、おぞましい色をした泥水にゴミやぼろきれ、ネズミやネコや犬の死骸、時には子供の亡骸まで浮いていることがある。(中略)そのにおいもまた、ずっと遠くから嗅いだだけで吐き気を催すほどだ―* *
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 11 PDF HTML
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7. 一杯分のゆとり
聞香杯(ウェンシアンべイ)、という茶具がある。高さ七センチ、直径三センチほどの磁器で、掌にすっぽりと収まる感じがいい。北京では最近、「茶藝館」と呼ばれる喫茶店が増えている。店内には胡弓や琵琶などの音色が静かに流れ、チャイナドレスを着た女性が丁寧に茶を入れてくれる。ロウ染めや藍染の布地でつくった衣装を制服にしているところもある。木や竹の家具、間接照明など、インテリアにもそれぞれの店のこだわりが感じら
Author: 本誌·林望 Year 2000 Issue 12 PDF HTML