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Your search : [ author:作者 苦苓
え·李耀林] Total 79 Search Results,Processed in 0.099 second(s)
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31. 道
大雪の朝、父が息子を連れて外出しました。私のうしろを歩きなさい、と父は何度も言うのですが、息子は……大雪が降り、道路をふさいでしまいました。雪の上を、人が歩きはじめました。でもみんな、一人分の幅の狭い道を行き来するだけです。はじめは雪が積もっていたところですが、歩く人が多くなったおかげで、雪がとけてしまいました。それが、いま道になっているのです。彼は、その道を歩いているところです。十歳になる息子が
Author: 作者 劉国芳 え 高栄生 Year 1994 Issue 5 PDF HTML
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32. 橋
先生が子どもを背負って川を渡っているという話は、ゆうゆうたる川の流れとともに天の果てまで伝わって行った。山すそを、一条の川が流れている。ゆうゆうと流れている。きらきらと光る流れは、両岸の人びとのいくつものつながりを、鋭い刀のように断ち切っていた。この数年来、村で急に子どもが増え始め、争うように大きくなり、あちこちでわんぱくの限りをつくすようになった。子どものめんどうをみてくれる先生を探さんといかん
Author: え·穆永瑞 作者 許伝超 Year 1994 Issue 7 PDF HTML
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33. 宵待草の鉢
この宵待草の鉢が、二人の感情を破裂させる導火線となった。すべてが、その日に終わった。彼と彼女は、初めはたいそう幸せだった。幸せな日々は時とともに流れてゆき、幸せという状態がだんだん微妙に変わっていった。そしてあるとき、それぞれがそのことをさとった。軽い失望感が心のなかに生まれたが、どちらもそれを口に出すことはしなかった。ある日、二人の生活の中に鉢植えの宵待草が加わった。彼女がわざわざ花市から買って
Author: 作者 薛涛 え 高栄生 Year 1994 Issue 8 PDF HTML
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34. スイカ選び
黒竜江省西北部に広がる嫩江(どんこう)の一帯は、かつて北大荒と呼ばれ、多くの下放青年が開拓に汗と涙を流した基地でした。スイカが出回る季節になると、老王(ラオワン)の勤めから帰る時間がいつもかなり遅くなる。はじめのうち女房は、そんなに遅くなることに仏頂面をしていたが、やがてがみがみ言うのが自分でもいやになり、したい放題にさせることにした。ありがたいことに、ばくちや女遊びをしているわけではない。あまり
Author: 作者 蕭復興 エ·葉曙光 Year 1994 Issue 9 PDF HTML
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35. 愛のそらごと
この短編は、人民解放軍編集の雑誌『菎斎』に掲載されたもので、主人公の夫も軍人という設定になっています。妻が、礼儀小姐(リーイーシヤオジエ)(ホテル、レストラン、商店などの入り口で客を送迎する女性)コンテストに出る、と言う。これには全く仰天させられた。だがもっと驚いたのは、僕がろくに考えもせず、しかもにっこり笑ってOKし、誠意と理解を顔ぢゅういっぱいにしたことだ。僕にこの話を切り出したとき、妻は頬を
Author: 作者 范紅斌 え·高栄生 Year 1994 Issue 12 PDF HTML
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36. カーペット
先生のお部屋には新式の家具なんて一つもないのに……遅教授の著作がやっと出版され、少なからぬ原稿料が入った。教授は、ひたすら学問に没頭し、日常のことはさっぱりという、瘦せた老人だ。夫人の没後は、僕たち何人かの大学院生が身の回りのお世話をしてきた。この得難い金の最良の使途についても、何を選択すべきかで、僕たちは何回も「学術討論会」を招集した。遅先生の家は、買うべき物が多過ぎた。文革で略奪に遭い、家具財
Author: 作者 航鷹 え·穆永瑞 Year 1995 Issue 1 PDF HTML
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37. 棋力
局長が強すぎるんです!僕なんかいくら頑張ったって、局長には勝てっこないですよ!あいつはほんとにせこい!牟徳俊の友人たちはみんなそう言う。農村に下放していたころ、彼はいつも生産隊長にぺこぺこ頭をさげ、満面に笑みをたたえてヘイコラしたおかげで、楽な仕事に回されたり、労働点数でも満点をもらうなど、ずいぶんとうまい汁を吸ったものだ。やがて政策が変わり、知識青年は都会に帰り始めたが、このとき真っ先に帰ったの
Author: 作者 劉平 え·葉曙光 Year 1995 Issue 2 PDF HTML
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38. 誤解
この世で人間をやっている以上、義理人情は九事にしませんとねえ。夕方、康君が町の西のL字型になった横町を散歩していると、思いがけず「老張!」と呼びかけられた。はい、と一言答えただけで彼は、見知らぬ三、四人の若者にむりやり横町の角の「思い出レストラン」に連れていかれた。「美味満腹」の思い出をさしあげたいんですよ、と彼らは言った。もちろん康君は逃げ出そうと努めた。「君たちこれは……まさか僕におごらせるつ
Author: 作者 邵宝健 え·劉冬 Year 1995 Issue 3 PDF HTML
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39. おばさんの家で
静寂にも、一種の力がある。人の心を乱し、途方に暮れさせる。わが家の脱穀場の、ゆうに半分はある客間だ。ガランとしたその客間に僕はひとりで座っている。この部屋には、あるべきものがみんなある。それらは豪華なのか普通なのか、とにかく僕はまだこういう上等な家に来たことはない。だれもいないし、なんの物音も聞こえてこない。静寂にも、一種の力がある。人の心を乱し、途方に暮れさせる。大きな塊りとなった静寂がみぞおち
Author: 作者 守林 え·穆永瑞 Year 1995 Issue 5 PDF HTML
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40. 募集
月に二千元だろ、一年で二万四千元だ、十年で二十四万元だ!ところがいまはどうだ。本社は中外合資企業ですが、業務上の必要により、弁公室文書係一名を募集します。三十五歳以下、短大以上の学歴があり、弁公室文書の業務の経験を持つ男性の応募を歓迎します。面接で合格すれば、本社の正社員に招聘します。月給は二千元です。応募先 ×××公司弁公室この求人広告を読んで、市政府弁公室の秘書江くんは、興奮のあまり新聞を持つ
Author: 作者 未遅 え·金亭亭 Year 1995 Issue 7 PDF HTML