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え·潘世勲] Total 5 Search Results,Processed in 0.070 second(s)
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1. 壁
新任の省最高責任者を待ち受けていたものは何か。 官僚主義にメスを入れる。余志亮はこの、省(地方行政区画)の党委員会第一書記(知事クラス)として赴任してきたばかりだ。宿舎も三カ所ばかり見たが、気に入ったのがないので、家族はまだ越して来ていない。とりあえず省の来賓用宿舎である賓館に泊っている。省委員会の主だった人たちと顔合わせをしただけで、まだ仕事を始めないうちに、ひどい風邪で寝込んでしまったのだった
Author: 韶華 え·潘世勲 Year 1980 Issue 7 PDF HTML
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2. 特別な観客
プロローグ江南の春はおとずれがとくに早いが、〈労·農·兵劇院〉の中はそれにもまして春たけなわだ。今夜上演されているのは革命的現代京劇〈智取威虎山〉である。劇場の中は奏楽の調べが大波のようにうねり、数千の観客は劇の進展に心をうばわれていた。だから、ひとりの観客が座席がなく、適当な立見の場所もみつからないかのように、背を丸めて舞台の近くにいったり、壁ぞいに客席のうしろへいって立ったりしているのに気づく
Author: 段瑞夏 え·潘世勲 Year 1973 Issue 11 PDF HTML
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3. 新ーハ路
たそがれ、夕陽が空いっぱいに美しい夕焼けをとどめていた。まあたらしい新紅鉄路が、深緑の山林のあいだを縫って走っている。列車はこのあたらしい鉄道にそって軽快に走りつづけていた。この土地と別れてからもう一年あまりになる。わたしは目ばたきもせず、車窓をかすめ去っていくひとつひとつの山や村に見いっていた。ああ……山岳地区は様相を一変させている。安口河には、流れをさえぎる大堤防が築かれ、中空を高圧線がつらぬ
Author: 恒頌 え·潘世勲 Year 1974 Issue 5 PDF HTML
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4. 安全運行を支える人びと
北京の一月は、まだ北風が肌を刺す寒さだ。あちこちにつららがさがっている。ところが、北京国際空港のラウンジは、エア·コンディショナーで調節されているせいか、まるで小春日和の温かさである。美しいみどり色の冬青(そよご)をはじめ、鉢植えのはまなす、ジャスミン、ばらの花の香りがふくいくとただよう。ラウンジには、世界各国からの旅客や中国の旅行者たちが、搭乗前の手続きを済ませたり、ソファーのところで親類、友人
Author: 韶華 炳炎 Year 1981 Issue 4 PDF HTML
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5. 祖父
汽車での八時間は、車両の連結部に立ったままで、食堂車どころかトイレにも行けず、人の肩に押されて片足が宙に浮いても身動きもできなかった。それからまたバスで四時間、缶詰めのいわしになって、やっと大晦日のうちに私は郷里にたどりついた。年越しには一家がそろわなければならないという、何千年らいの習慣のせいで、こんな苦行をさせられる。家には、父、母、弟二人、妹、八十三の祖父がいるが、北京にいる私のところへ、し
Author: 韶華 え·高栄生 Year 1987 Issue 12 PDF HTML