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Your search : [ author:本誌 黎雪] Total 973 Search Results,Processed in 0.143 second(s)
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1. 火鍋
北京に冬が来ると、町に「涮羊肉(シユワヤンロウ)はじめました」の貼り紙が目立つ。北風が身にしむころ、あたたかい部屋の中で、ふつふつと湯気の立つ火鍋(フオグオ)を囲み、涮肉(シユワロウ)―しゃぶしゃぶを味わうのは、冬の楽しみだ。牛肉や豚肉も使うが、羊肉ですると「涮羊肉(シユワヤンロウ)」。什錦(シージン)という寄せなべふうのもある。王府井に涮羊肉のしにせ東来順があり、この店では、内蒙古草原産の大きい
Author: 本誌 黎雪 Year 1989 Issue 2 PDF HTML
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2. 迎春花
わが家の二鉢の迎春花が開いた。雪に耐えて咲く薄黄色の小花は、まだ緑ひとつない庭先を、ぽっと明るくする。もくせい科の落葉灌木で、春いちばんにまず花が咲き、そのあとで葉が出る。中国の原産で、華中、華北に多い観賞植物だが、葉は腫れ物にきく薬材になる。北京特有のものではないが、北京では、戸外でまっさきに春を告げる花だ。北京の三月は三寒四温で、冷たい北風も吹き、時には大雪もあるが、春の気配はもう誰にもが感じ
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 3 PDF HTML
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3. 凧あげ
風あたたかに花開き、郊外へでもと考えるころ、子供らは喜々として凧あげにとび出します。いまでは大人のあそびにもなっていて、このムカデ凧など二十メートルはゆうにあり、大人でもよほどの腕前でなければ上がりません。さいわい北京には四十四ヘクタールの天安門広場があり、ここは電線も樹木もない絶好の場所なので、風の良い春の日にはいつも名人たちが自慢の凧を手に集まってきます。神仙、人物、花鳥虫魚―色彩けんらんの胡
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 4 PDF HTML
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4. ミニ三輪
毎日、午前七時半から八時半と午後五時から六時の、通勤ラッシュの時間になると、北京の道路は人と車の川になる。自転車専用通行帯は、ご存知の自転車の大奔流で、未熟な人や、あまり勇気のない人は、とてもこの中に割り込むことはできない。北京の自転車が五百万台を突破したのが一九八五年、今年はもう八百万台を超え、全中国では三億台以上になっている。まさに自転車王国だ。自転車、トロリー、バス、乗用車と、超負荷の北京の
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 5 PDF HTML
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5. レッツ ダンス
北京の夜が明けると、デパート前のちょっとした広場や立体交差橋わきの小公園、あるいは住宅の中庭などで、大小のグループが早朝トレーニングを始める。若い人は、まだ車の少ない大通りでマラソンの練習。中高年組は、ゆったりといい形で太極拳や太極剣を。目を閉じ中腰のままで彫像のように微動もしないのは「站椿(たんとう)」をしているさいちゅうのおじいさん。道路のフェンスや橋の欄干に足を上げてバレリーナもどきのおばあ
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 6 PDF HTML
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6. 虫の声
土用に入って暑さが厳しくなるにつれ、せみの声が盛んになり、フテール、フテールと鳴きたてて人をげんなりさせる。中国には百種以上のせみがいて、中でも「黒蚱蟬(くまぜみ)」は体長が五センチ位ある大きいせみで、鳴くと半径五百メートルかいわいにひびく。せみは腹部に特殊な器官があって、それで底力のある声が出るとか。子供のころ、大人たちがせみは害虫で前足のノコギリで樹木の皮を傷つけ枝を枯らすというので、子供らは
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 8 PDF HTML
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7. 鳥
高く澄んだ空にひと刷きの雲、金秋の北京には鳥かごを提げた人が目立つ。四、五十年前なら、こういうのはほとんどが封建王朝の遺臣たちの姿だったが、いまは、定年退職の労働者である。年金で暮らしはまずまず、鳥を飼うのが楽しみで、画眉のひなで二十元、鳴けるのは百元、鳥かごやえさ代を入れると二百元にもなるが、老人たちは惜しまない。三羽も五羽も飼う人もいる。鳥かごの真ちゅう金具を磨きあげ、染付けの小さいつぼに水と
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 9 PDF HTML
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8. バラ
十月に入ると北京は涼しくさわやかで、空は高く青く、町には花と果物が豊富になる。私は果物ではイチゴ、花ではバラが好きだ。バラは、北京では五月から十二月初めまで、いつもどこかで咲いて、色美しく、屋外の花期を長くしてくれる。北京の市の花は菊だが、花期はそんなに長くない。北京人は花を育てるのが好きだ。子供のころ住んでいた小胡同では、どの家にもおしろい花や朝顔や鳳仙花があった。ありきたりの丈夫で育てやすいも
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 10 PDF HTML
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9. 柿
柿は東洋の庶民の果物。中国が原産とされ北京にも多い。柿は宝の木で、唐代の書では「一寿、二多陰、三無鳥巣、四無虫、五霜葉可玩、六嘉実、七落葉肥大可以臨書」を七大特長としている。ほかにも樹皮の灰は植物油と合わせて火傷に、干柿の白い粉はのどやせきに利く。夏、枝葉は心地よい陰をなし、やがて柿もみじ。落葉のあと秋色を添える紅い実。木材としても、木目の美しい銘木だ。果実は栄養が高く、老年性白内障によい。干柿は
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 11 PDF HTML
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10. スケート
北京は季節がはっきりしている。夏三カ月の平均気温は二十四、五度、冬三カ月の平均は零下二·五度から零下五度ぐらいだが、真夏は四十度になる日もあり、真冬は零下二十二度にもなるときがある。厳寒の楽しみはスケート、それも頤和園や北海公園、什刹海、中山公園など、結氷した湖水がおもしろい。夏のボートは引き揚げられ、天然のリンクとして開放された湖面にスケーターワルツが流れる中、よちよち歩きの子が若いママにしがみ
Author: 黎雪 Year 1989 Issue 12 PDF HTML