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Your search : [ author:安藤彦太郎] Total 5 Search Results,Processed in 0.090 second(s)
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1. 太原の一夜
国慶節もすぎて、北京の秋はいよいよ深まってきた。街かどにたつ交通巡査の白服は、紺の綿服にかわったし、赤旗を先頭に行進するピオニールたちにも、綿入れ姿が目だつようになった。衣料品店の店さきには冬仕度の衣類が、ぎっしりとならびはじめたし、くだもの屋には柿やリンゴなど秋のくだものが山と積まれ、どこも買物客でにぎわっている。それはちょうど、十六年目の建設期に入った実りを象徴しているようである。そして、こう
Author: 安藤彦太郎 Year 1964 Issue 12 PDF HTML
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2. 江西の旅〈上〉
窓のそとで人の話声がきこえる。列車がとまっているらしい。寝台からおりてカーテンをあけてみると、鷹潭(インタン)駅だ。鷹潭といえば鄱陽湖(ポーヤンフー)にそそぐ信江のほとりにあって、福建省の廈門につうじる鷹廈線の鉄道の起点としても知られている。すでに朝の六時半、列車はとっくに江西省に入っているのだ。昨夜、すなわち一一月二日午後八時五三分、浙贛線にのって杭州をたち、南昌にむかったのだが、夜の一〇時すぎ
Author: 安藤彦太郎 Year 1966 Issue 1 PDF HTML
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3. 江西の旅〈下〉
廬山の月銭塘の潮(うしお)、盧山の月という。浙江省の杭州でゆったりと流れる銭塘江をみた私は、はからずもそれと相対する名所、盧山にのぼって、満月とはいかないが、旧暦十七夜の月をながめることになった。井岡山からかえって南昌で一泊、一一月九日朝七時一〇分、南潯線の列車にのる。これは南昌から長江の岸辺にある九江までゆく鉄道だ。九江まで五時間だが、南昌で私がおとずれた共産主義労働大学の総校で案内をしてくれた
Author: 安藤彦太郎 Year 1966 Issue 3 PDF HTML
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4. 北京600日
北京六〇〇日、と表題を書いてみて、なんともいえない奇妙な気持ちがしてきました。一昨年の七月、中国にやってきたわたしは、この三月三日で、ちょうど六〇〇日目をむかえました。もちろんそのかん各地の旅行にもでかけましたから、北京にだけいたわけではありません。厳密にいえば看板にいつわりありですが、大部分を北京にすごしたことは事実です。長いなあ、とわれながらおもいます。日本をでるときは、これほど長くいることを
Author: 安藤彦太郎 Year 1966 Issue 5 PDF HTML
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5. 西南紀行
私たち一家四人は、三年半の北京滞在を終えて、昨年十月、日本に帰国した。私と妻とが、おなじく早稲田大学の教授として、おなじ年度の在外研究員を命じられ、中国に渡ったのは一九七六年五月であった。それ以来、社会科学院、北京大学その他の機関のかたがたに、どれほどご厄介になったかわからない。私と妻が、研究や仕事の面でいろいろお世話になったほかに、いま六歳のひとり息子は、幼稚園から小学校まで、たったひとりの外国
Author: 安藤 彦太郎 Year 1979 Issue 6 PDF HTML