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Your search : [ author:作者 墨白え·葉曙光] Total 72 Search Results,Processed in 0.094 second(s)
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41. 超能力の効用
灯台もと暗しとよく言うが……昔の人は上(う)手(ま)いことを言ったもんだ、「ローマは一朝にして成らず」この十年間、私は毎朝五時に起きて「気功」の修練に打ち込んできたのだが、どうやら武芸者の言う「開眼」の域にたっしたらしい。うそじゃないよ、証拠があるんだ。ふたつきほど前のことだ。いつもの通り霊山公園で修練しながら気を放つと、なんと鳥籠をぶらさげて近くを通りかかった呉さんが、「今度も局長に再任されるか
Author: 作者 李游 え·葉曙光 Year 1996 Issue 4 PDF HTML
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42. 涙の身代わり
足音を聞いた彼は、一瞬自分の耳を疑った……A市テレビ局のメーンスタジオは、ちょうど春節に放映する特別番組の収録に追われており、いまその一つ、「つれあい捜し」が始まろうとしていた。七色に変化する照明がビニタイル張りのフロアに、十数人のご主人をうつし出している。男性陣は全員目隠しをされたあと、向かい合って二列にならび、その間にできた細い道をライトを浴びた奥さま方が一人一人歩いて、その足音で首尾よくご主
Author: 作者 楊玉界 え·葉曙光 Year 1996 Issue 5 PDF HTML
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43. 李四の値打ち
好漢の二字を戴く李四が、またまた女性の悲鳴を聞きつけた。この栄誉を永遠にと願う彼は……ちょうどその日、仕事を終えて家に帰ろうと、三号橋にさしかかった時だった。李四は一人の暴漢が中年の女性の首に刃物を突きつけて、彼女のネックレスを奪い取ろうとしているのを目撃した。彼女は必死に声をあげて助けを呼んでいたが、近くにいる人たちは、自分の身に直接関わりない事件だからと、とくに騒ぐでもなく素知らぬふりであった
Author: 作者 汝栄興 え·葉曙光 Year 1996 Issue 6 PDF HTML
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44. 新品揃え
何もかも新しくして、かれは得意の絶頂にあったが……「まあ、座れよ」僕は笑顔で同僚の王君に椅子を勧めた。ところが、にっこりと頷いて腰を下ろした王君が、「ボキッ」「パタッ」という大きな音をたてて、床に尻餅をついてしまったのだ。笑いが彼の顔に凍り付いた。よく見ると四本あった足が二本しかないのだ。王君は「えらいことになったな」という顔をした。「ごめん、ごめん、大丈夫かい」僕が笑いながら頭を下げると、「おれ
Author: 作者 魏金樹 え·葉曙光 Year 1996 Issue 7 PDF HTML
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45. ある愛のかたち
絶望のどん底から立ち上がる気力を甦らせたものは……たかだか二十四歳になったばかりの方冬が、この日病院の門をくぐったのは胃の検査を受けるためだったが、医者は、バリウム透視をしながら肺の方を見て、意外にも胸部の検査をしてあげようと言い出した。方冬はさして気にしなかった。誰もが金儲けに走るご時世だ、このお医者だってきっと金が欲しいに違いない。OK、方冬は気軽に承知した。撮りたければ撮ってください、どうせ
Author: 作者 周大新 え·葉曙光 Year 1996 Issue 8 PDF HTML
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46. 名酒
二本の茅台を前にして、私は途方に暮れた……。茅台酒には値打ちがある。親父が兵営を訪ねてきたとき、私はこのことをつくづく思い知らされた。この日の親父は口の丸い布靴をはいて紺色の中山服を着ていたが、きちんと手入れした顔は、若者のようにつやつやしており、手に下げた布袋には、食べ残したマントウと一緒に、二本の茅台酒がはいっていた。親父は私の手紙を見て急いでやってきたと言う。先日、私の名前が昇進候補者のリス
Author: 作者 盧茂亮 え·葉曙光 Year 1996 Issue 9 PDF HTML
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47. ミスキャンパス
男子学生憧れのまとは難攻不落と思われたが……「次ぎは冷春月さんに『あなたの優しさ
Author: 作者 凌鼎年 え·葉曙光 Year 1996 Issue 10 PDF HTML
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48. 朝顔
後を追いたいとまで思った彼の死が彼女に残したものは……ふたりは幼なじみだった。そして年頃になると自然に愛し合うようになった。だが、彼には若くして夫をなくし、女手一つで息子を育てて来た頭の堅い古いタイプの母親がいた。彼女はふたりが同姓だというきわめて単純な理由で、頑なにこの結婚に反対した。親孝行で芯の弱い彼は母の意見に従った。彼女の方もおとなしくこのショックに耐え、何の抗議らしい素振りも見せなかった
Author: 作者 裘山山 え·葉曙光 Year 1996 Issue 11 PDF HTML
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49. お春
芸は身を助けると人は言うが……結婚するとすぐ、僕たちは新築の団地に引っ越したが、妻は勤め先が家からかなり遠くなったので、昼食に帰って来なくなり、僕ひとりでは食事を作るのも面倒くさいので、よく横町の突き当たりにある一品料理屋の世話になった。この店に料理を運ぶ四川省出身のウエイトレスがいて、ママは彼女を「お春」と呼んでいた。色っぽいと言うほどではないが、目鼻立ちが整っていて、とくに人を見るときの眼がう
Author: 作者 林如求 え·葉曙光 Year 1997 Issue 1 PDF HTML
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50. 雪だるま
切羽詰まって父親がえらんだ道は……夏の日が暮れて、街灯があたりを銀色に照らし始めると、大勢の人がこの明かりの下に集まってひとしきり、将棋を指したり、世間話をしたり、あるいはカードを並べて勝った負けたの騒ぎをするのだった。男物の上着を小脇にかかえた婦人が、左右を覗きながらやって来ると、将棋を見ていた一人の中年男性の肩にそっと掛けながら言った。「あなた、もういいわよ、元元(ユアンユアン)の宿題終わった
Author: 作者 許行 え·葉曙光 Year 1997 Issue 2 PDF HTML