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Your search : [ author:作者 墨白え·葉曙光] Total 72 Search Results,Processed in 0.093 second(s)
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21. 宵待草の鉢
この宵待草の鉢が、二人の感情を破裂させる導火線となった。すべてが、その日に終わった。彼と彼女は、初めはたいそう幸せだった。幸せな日々は時とともに流れてゆき、幸せという状態がだんだん微妙に変わっていった。そしてあるとき、それぞれがそのことをさとった。軽い失望感が心のなかに生まれたが、どちらもそれを口に出すことはしなかった。ある日、二人の生活の中に鉢植えの宵待草が加わった。彼女がわざわざ花市から買って
Author: 作者 薛涛 え 高栄生 Year 1994 Issue 8 PDF HTML
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22. スイカ選び
黒竜江省西北部に広がる嫩江(どんこう)の一帯は、かつて北大荒と呼ばれ、多くの下放青年が開拓に汗と涙を流した基地でした。スイカが出回る季節になると、老王(ラオワン)の勤めから帰る時間がいつもかなり遅くなる。はじめのうち女房は、そんなに遅くなることに仏頂面をしていたが、やがてがみがみ言うのが自分でもいやになり、したい放題にさせることにした。ありがたいことに、ばくちや女遊びをしているわけではない。あまり
Author: 作者 蕭復興 エ·葉曙光 Year 1994 Issue 9 PDF HTML
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23. 呂家の兄妹
毎朝妹がきちんとしたみなりで出かけてゆくのを見ると、いつも兄の目に羨望と苦痛の色が浮かんだ。呂家は、このあたりでは名家だった。おじいさまの代は有名な中医だった。父親は医大出の西洋医で、医術もりっぱと言われていたが、「女性問題」で病院を首になった。妻は離婚してほかの男と再婚し、二人の子どもが彼のもとに残された。この時期は家で医院を開き、中西両方を診ていたので、暮らしは相当なものだった。やがて文化大革
Author: 作者 劉進元 え·李耀林 Year 1994 Issue 10 PDF HTML
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24. 大きなスッポン
このスッポンは神様じゃ! と家族のみんなが驚いた。大水が出て、一匹のスッポンが浜辺に流されてきた。男の子がやってきてそれを見つけ、大きいなあ!とびっくりした。彼はしゃがんでスッポンを抱き上げ、家に持って帰ろうとした。だが重くてだめだ。まわりを見たが、広い浜辺には人っ子一人いない。彼はじだんだを踏んでそのまわりを歩いた。突然、彼は走りだした。お母さんを呼んできて助けてもらうんだ。母親は家にいなかった
Author: 作者 龐世偉 え·李耀林 Year 1994 Issue 11 PDF HTML
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25. 愛のそらごと
この短編は、人民解放軍編集の雑誌『菎斎』に掲載されたもので、主人公の夫も軍人という設定になっています。妻が、礼儀小姐(リーイーシヤオジエ)(ホテル、レストラン、商店などの入り口で客を送迎する女性)コンテストに出る、と言う。これには全く仰天させられた。だがもっと驚いたのは、僕がろくに考えもせず、しかもにっこり笑ってOKし、誠意と理解を顔ぢゅういっぱいにしたことだ。僕にこの話を切り出したとき、妻は頬を
Author: 作者 范紅斌 え·高栄生 Year 1994 Issue 12 PDF HTML
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26. カーペット
先生のお部屋には新式の家具なんて一つもないのに……遅教授の著作がやっと出版され、少なからぬ原稿料が入った。教授は、ひたすら学問に没頭し、日常のことはさっぱりという、瘦せた老人だ。夫人の没後は、僕たち何人かの大学院生が身の回りのお世話をしてきた。この得難い金の最良の使途についても、何を選択すべきかで、僕たちは何回も「学術討論会」を招集した。遅先生の家は、買うべき物が多過ぎた。文革で略奪に遭い、家具財
Author: 作者 航鷹 え·穆永瑞 Year 1995 Issue 1 PDF HTML
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27. 棋力
局長が強すぎるんです!僕なんかいくら頑張ったって、局長には勝てっこないですよ!あいつはほんとにせこい!牟徳俊の友人たちはみんなそう言う。農村に下放していたころ、彼はいつも生産隊長にぺこぺこ頭をさげ、満面に笑みをたたえてヘイコラしたおかげで、楽な仕事に回されたり、労働点数でも満点をもらうなど、ずいぶんとうまい汁を吸ったものだ。やがて政策が変わり、知識青年は都会に帰り始めたが、このとき真っ先に帰ったの
Author: 作者 劉平 え·葉曙光 Year 1995 Issue 2 PDF HTML
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28. 誤解
この世で人間をやっている以上、義理人情は九事にしませんとねえ。夕方、康君が町の西のL字型になった横町を散歩していると、思いがけず「老張!」と呼びかけられた。はい、と一言答えただけで彼は、見知らぬ三、四人の若者にむりやり横町の角の「思い出レストラン」に連れていかれた。「美味満腹」の思い出をさしあげたいんですよ、と彼らは言った。もちろん康君は逃げ出そうと努めた。「君たちこれは……まさか僕におごらせるつ
Author: 作者 邵宝健 え·劉冬 Year 1995 Issue 3 PDF HTML
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29. 天の配剤
ついにある日、彼らは賢こくも、しかし胸に痛みを抱きながら、別れを告げあった……敏と軍は、恋人同士だった。やがて、どういう魔がさしたのか二人の心はだんだん離れて行った。敏は言った。あなたは、どうして大学入試にこだわるのよ?今の世の中、みんなお金もうけで必死じゃないの。大学に入ったって、なんの役に立つの!軍は言った。人は、ただ銭のためのみに生くるにあらず、さ!もしそうなら、あまりにもつまらない。あまり
Author: 作者 劉平 え·李耀林 Year 1995 Issue 4 PDF HTML
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30. おばさんの家で
静寂にも、一種の力がある。人の心を乱し、途方に暮れさせる。わが家の脱穀場の、ゆうに半分はある客間だ。ガランとしたその客間に僕はひとりで座っている。この部屋には、あるべきものがみんなある。それらは豪華なのか普通なのか、とにかく僕はまだこういう上等な家に来たことはない。だれもいないし、なんの物音も聞こえてこない。静寂にも、一種の力がある。人の心を乱し、途方に暮れさせる。大きな塊りとなった静寂がみぞおち
Author: 作者 守林 え·穆永瑞 Year 1995 Issue 5 PDF HTML