Current Location: Home » Full Text Search
Your search : [ author:作者 墨白え·葉曙光] Total 72 Search Results,Processed in 0.082 second(s)
-
11. 道徳の授業
まちがったことをしました、と謝りに行くのが先だ。お総菜店を出たところで、息子がこともあろうにナシを一個盗んでいたのを見つけた。まだ口をつけていなかったので助かった。さもなかったら、私はどうしてよいかわからなかっただろう。私はすぐナシを取り上げ、厳しくしかりつけた。「どうしてお前は、盗むなんてことをしでかしたんだ。食べたかったんなら、買ってちょうだいと、パパに言うもんだろう。まったく、六つの子どもが
Author: 作者 白波 え·穆永瑞 Year 1993 Issue 10 PDF HTML
-
12. 職業病
一人の女性の出現が陶理の人生哲学を一変させた小学教師の陶理が、アルバイトで金儲けしようと心に決めた。だが彼は、おおげさに宣伝などせず、こっそり動き出すことにした。ふだんから陶理は、たいそう人目を気にしていた。ズボンにはいつもきちんとアイロンをかけ、靴もピカピカにしていた。口が臭くなるネギやニンニクは食べないし、食後は必ず歯を磨き口をすすぐ。菜っぱの切れっぱしが歯にくっついていたら大変ではないか。町
Author: 作者 程憲濤 え·葉曙光 Year 1993 Issue 11 PDF HTML
-
13. 生存試験
腰掛けは理髪店の椅子にかないませんがほかは負けてませんよ。林君の青空床屋は、とある労務市場の端っこにある。この労務市場は自然発生的にできたもので、取り締まりの役人[注释1]がしょっちゅう追い立てに来るが、二日とたたないうちにまた人が集まってしまう。市場はどんどん繁盛し、仕事にありつきたい人と仕事をしてくれる人を探す人が値切り値切られて、それはにぎやかなものだ。林君の商売も順調で、一日に四、五人の客
Author: 作者 劉思 え·李耀林 Year 1993 Issue 12 PDF HTML
-
14. スリッパ
中国では普通、家の中でも靴はぬがないのですが、この物語は…阿濃のあだ名を「スリッパ」という。そのあだ名には、こんな由来がある。阿濃は人づきあいがよく、いい友だちがたくさんいた。新婚夫婦の寝室のインテリアや調度の配置もぜんぶ仲間が手伝ってくれた。結婚式の日は大勢の人がワンサと集まって、上海語でいう「カニ一匹もぐりこむすきもない」ほどだった。翌日、妻の小潔(シャオジエ)は六足のスリッパを買って来て、入
Author: 作者 凌鼎年 え·穆永瑞 Year 1994 Issue 1 PDF HTML
-
15. 小城に名医なく
城は、中国語では都市のこと。 とある小城で、こんなことが起こったのです。燕省吾は、代々中医の家柄、時に五十歳、あから顔で、髪もあごひげも白い。小城のあらこちの通りで、ゆったりと歩くそのすがたが、よく見られたものです。燕先生は、貴賤貧富、老若美醜、肌の色や愚者賢者など、一切の違いを問うことなく、来る者すべてを身内のように遇しました。どのような難病であれ、燕先生がひとたび脈をとり処方箋を書けば、三服で
Author: 作者 馬宝山 え· 李耀林 Year 1994 Issue 2 PDF HTML
-
16. 茶仙
彼らはため息をついて言いました。スゴい―まことの茶仙だ!謝宝興は百歳の仙寿をむかえました。それは全く以て、お茶をたしなんできたおかげでした。謝屋は、数千人の人が住む大きな村で、平野に面し、後ろに丘をひかえています。謝宝興の父はお茶の葉だけを売るささやかな店をやっていましたので、謝宝興も子どものときからお茶にどっぷりつかって大きくなりました。父親は言ったものです。この子には天分があるぞ。いちど竜井茶
Author: 作者 姚錦波 え·高栄生 Year 1994 Issue 3 PDF HTML
-
17. 巡査とサッカー狂
騷ぎを起こした二人は、子どもみたいにまだののしりあっていた。ちょうど競技場を出るとき、「いいぞッ!」と喚声が上がった。巡査は立ち止まって耳をそばだて、また歩き出した。キリッとした眉がつりあがり、いまにも降り出しそうな空のようにゆううつそうだ。騒ぎを起こした二人のキチガイどもは、子どもみたいにまだののしりあっている。巡査の声がとがってくるのもむりはない。競技場の警官詰所に来た。巡査は鍵を取り出してド
Author: 作者 李維明 え·穆永瑞 Year 1994 Issue 4 PDF HTML
-
18. 道
大雪の朝、父が息子を連れて外出しました。私のうしろを歩きなさい、と父は何度も言うのですが、息子は……大雪が降り、道路をふさいでしまいました。雪の上を、人が歩きはじめました。でもみんな、一人分の幅の狭い道を行き来するだけです。はじめは雪が積もっていたところですが、歩く人が多くなったおかげで、雪がとけてしまいました。それが、いま道になっているのです。彼は、その道を歩いているところです。十歳になる息子が
Author: 作者 劉国芳 え 高栄生 Year 1994 Issue 5 PDF HTML
-
19. 半本に減ったろうそく
突然、画面のそうぞうしい人の群れが姿を消し、部屋が真っ暗になった。その日私は出張で、北方の小さな見知らぬ町に着き、普通の旅館に宿をとった。入ってくる人も出てゆく人も、知らない顔ばかりだった。部屋にはベッドが三つあった。夜になったが、まだ私ひとりだ。いつどんな人が入って来るかも知れず、私は不安だった。テレビの画面はパッパと変わって、いろんな人を映している。私は、いくらか気が楽になってきた。突然、画面
Author: 作者 謝志強 え·李耀林 Year 1994 Issue 6 PDF HTML
-
20. 橋
先生が子どもを背負って川を渡っているという話は、ゆうゆうたる川の流れとともに天の果てまで伝わって行った。山すそを、一条の川が流れている。ゆうゆうと流れている。きらきらと光る流れは、両岸の人びとのいくつものつながりを、鋭い刀のように断ち切っていた。この数年来、村で急に子どもが増え始め、争うように大きくなり、あちこちでわんぱくの限りをつくすようになった。子どものめんどうをみてくれる先生を探さんといかん
Author: え·穆永瑞 作者 許伝超 Year 1994 Issue 7 PDF HTML