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1. 静かな産院
夕がすみの色がしだいに深く、濃くなって、水墨画の画面のようにかわっていった。公社の産院の、おもての垣根に咲いているバラ色の小花も、ほのかにうすれ、ひとつのかたまりになって、日はしだいにくれていった。譚(タン)おばさんは水ガメを満たしたあと、休みもしないで養生ちゅうの産婦二人のために食事のしたくにかかった。この年でこんなに達者なのは、おばさん自身もとくいだった。食事のしたくをおえると中の部屋にはいっ
Author: 茹志鵑 え·任之玉 Year 1962 Issue 2 PDF HTML
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2. 静かな産院
日の出ちかくになった。綿畑はいちめんみどりをなし、青々とした綿の実にまじっておそざきの白い花がのぞいていた。まもなくまた綿つみにいそがしくなる。早出組の社員たちはもう野良で働いていた。女の社員たちはみんな譚おばさんと顔なじみで、とおくの方から声をかけた。「譚おばさん」「譚おばさん」とあちこちから呼びかける。こっちでうちの坊やがもう乳ばなれしましたといえば、あっちでもうちの娘は歩けるようになりました
Author: 茹志鵑 え·任之玉 Year 1962 Issue 3 PDF HTML