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Your search : [ author:宗璞え·古干] Total 3 Search Results,Processed in 0.068 second(s)
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1. 弦上の夢(上)
一深みのあるチェロの音がきこえてくる。あるいは穏やかに、あるいはしのび泣くように、あるいは木枯しのように。冬空のように凍りつくかと思えば、たちまち軽く細く……。消えるかと思えばまた激しく……。誰かに心の奥を語りかけるようなひびきである。「ああ、慕容(ムウロン)(姓)楽珺(ロウチユン)[注释1]の演奏だ!」と音楽好きの人ならすぐ聞きわけられるほど、その弦の調べは、心に語りかけるものをもっている。慕容
Author: 宗璞 え·古干 Year 1979 Issue 5 PDF HTML
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2. 弦上の夢(中)
三それ以来、梁遐(リアンシイア)は毎週一回、慕容楽珺(ムウロンロウチユン)のレッスンを受けるようになったのだが、ふだんの日にも時どき来て、何くれとなく手伝ったりしていた。梁遐は聡明で、一を聞いて十を知るというタイプで、知識も広く、どんな話題でも、どんなことでもかまわず平気でずけずけという。だが、誰でも知っているようなことを、さっぱり知らないことがある。楽珺の同僚が来て、小説の話をしていたとき、いき
Author: 宗璞 え·古干 Year 1979 Issue 6 PDF HTML
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3. 弦上の夢 (下)
〈前号までのあらすじ〉 女流音楽家で音楽学校チェロ教師の慕容楽珺(ムウロンロウチユン)は、親友の忘れがたみで十九歳になる娘·梁遐(リアンシイア)を自宅にひきとり、めんどうをみていた。文化関係の老幹部だった梁遐の父は彼女が十歳のとき、「反革命分子」のぬれぎぬで監禁されて「自殺」し、母親も病死したのだった。
Author: 宗璞 え·古干 Year 1979 Issue 7 PDF HTML