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Your search : [ author:和谷岩え·古元] Total 1 Search Results,Processed in 0.108 second(s)
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1. 楓
秋の日暮れ方、夕焼が西の空を赤く染めていた。炊事班の建物のある山間(やまあい)の谷間から大跨ですたすたと出てきた自動車隊第二中隊の運転手胡文発(フーウエンフア)は、手にしたマントウの残りのひとかけらを口に押し込むと、油で汚れた両手で上着の埃やマントウの屑をはらいおとしながら、トラツク待避所にむかつて歩いて行つた。待避所は右手の林の中にあつた。そこには山の麓にそつて、十いくつかの掩蔽壕が掘られていた
Author: 和谷岩 え·古元 Year 1960 Issue 6 PDF HTML