Current Location: Home » Full Text Search
Your search : [ author:亀井勝一郎] Total 2 Search Results,Processed in 0.081 second(s)
-
1. 北京の早春
(題字·カツト挿絵は筆者)三月十日午後四時、飛行機は北京空港にしずかに到着した。この日は、中国にとってもめずらしい天候ではなかったかと思う。なぜなら、広州、長沙、漢口、鄭州から北京まで、青空がつづいていたからである。東京を出発するとき、北京の三月はまだ寒いと聞いていた。樹々の芽もまだ青みを帯びず、冬のつづきのようにみえたが、しかし青空のおかげで、暖い陽の光りがさし、いかにも早春という感じがあった。
Author: 亀井勝一郎 Year 1964 Issue 6 PDF HTML
-
2. 北京の春の思い出
わたしはいま一九六四年三月の日記をひらいている。わたしの第三回目の中国訪問のときだ。日本作家代表団のひとりとして、由起しげ子、武田泰淳、大岡昇平、白土吾夫の諸君とともにおよそ二週間の旅をつづけたが、三月一五日の日付を見ると、その日の午前一一時ごろ、わたしは中国作家協会の林元、李英儒の両先生の案内で、北京の外城にある天壇の石だたみの上を歩いている。春の淡い光を浴びながら、楽しい半日をすごしたと記して
Author: 亀井勝一郎 Year 1966 Issue 4 PDF HTML