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Your search : [ author:丁仁堂
え·吳靜波] Total 7 Search Results,Processed in 0.083 second(s)
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1. 嫩江の風雪
(一)草原の吹雪はすごい。嫩江(ノンチヤン)両岸の、眼をさえぎるもののない大草原が、あつという間にかききえると、あとは荒れ狂う吹雪の怒号ばかりとなる。木々の枝は折れそうにしなつて、ヒユーヒユーと悲鳴をあげる。眼にとまる鳥影ひとつない。農業生產協同組合の事務所の窓には、奇怪な形の氷の模樣ができていた。私は窓をこすり、氷をとかして外を眺めた。吹雪は無数の白い蛇がのたうちまわつているようにもみえた。「寒
Author: 丁仁堂 え·吳靜波 Year 1959 Issue 3 PDF HTML
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2. 白百合
一九四六年の仲秋節の日だつた。海岸攻擊部隊は、その夜総攻擊に出ることになつた。わたしたち文工団の創作室のものは、正面攻擊にあたる連隊の連隊長の指示で各戰闘中隊に加勢にいつた。ところがわたしだけはちがつていた。おそらくわたしが女であるためだつたろう。連隊長がさんざん頭をしぼつたあげく、わたしは傳令兵の案內で、前線の仮包帶所にまわされることになつた。仮包帶所なら仮包帶所でもよい。安全箱のなかにおしこめ
Author: 茄志鵑 え·吳靜波 Year 1959 Issue 4 PDF HTML
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3. 大仕事
一春になつて、今年はじめての小雨がふつた。その翌日、石西嶺(シーシーリン)管理区の支部書記をしている李增光(リーチオンコワン)は、早目に朝飯をすますと、紺木綿の幹部服を着て、手籠をさげ、下西坪(シヤアシーピン)管理区の支部書記をしている吳開元(ウーカイユエン)の家をたずねていつた。ふだん幹部服など着ることのない李增光が、幹部服を着て外へ出るというのは、よつぽどの用事がある時にかぎられていた。それは
Author: 束爲 え·吳靜波 Year 1959 Issue 12 PDF HTML
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5. 工事場の老夫妻(下)
かみさんは銃をとると、銃彈の雨を縫つて谷間に下り、延河のほとりへ手さぐりで進んでいつた。その間に黑成威(こくせいい)(ヘイ·チヨンウエイ)は、手榴彈を手に、十二の担架をまつくらな林のなかに運び込んだ。呂有懷(ろゆうかい)(リユイ·ユウホワイ)は黑成威が煙管をとり出したまま吸いつけもせず、しきりにあたりを見回しているのを見て声をかけた。「おかみさんと息子さんをはやくむかえに行つてやんなさいよ」黑成威
Author: 杜鵬程(トウポンチヨン) え·吳靜波(ウーチンポー) Year 1958 Issue 10 PDF HTML
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6. 大工の王さん(上)
一その日の朝、めずらしく野良は靜まりかえつていた。陽はもうかなり高かつた。が、野良に出て働く者は誰もいなかつた。村人たちはみんな村の通りや町に出る道にあつまつてガヤガヤ言つていた。手提籠をかかえたり、袋をかついだり、一輪車をおしていたり、なかにはゴムタイヤの馬車をひいているものもいたが、みんなこれから町の市(いち)に出かけようというのだつた。小麦の取入れから夏の農繁期に入り、秋も深くなつたいままで
Author: 王汶石(ワンウエンシー) え·吳靜波(ウーチンボー) Year 1958 Issue 11 PDF HTML
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7. 大工の王さん(下)
市(いち)のさきは街の通りにつづいていた。そこをまがると、鍛冶屋の店先に出る。今では鉄業協同組合の作業班の一つになつていた。そこの、昔の親方で、今は班長をやつている張さんは、王さんのよい協力者だつた。彼はニツコリ眼であいさつして王さんを迎えた。ちようど鉄床を前にしていたが、最後の一槌を打ち終ると、ヤツトコにはさんでいたシヤベルを炉のそばにほうり出した。王さんは煙だらけの炉のそばに寄つてゆくと、「い
Author: 王汶石(ワンウエンシー) え·吳靜波(ウーチンポー) Year 1958 Issue 12 PDF HTML