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え·范恵民] Total 3 Search Results,Processed in 0.075 second(s)
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1. 工亊費(上)
「……名目さえ通っていれば誰もとやかく言いはしない。自分たちも恩恵にあずかることになるのだし、集団のなかで浮きあがりたくないからだ」一一九七九年のはじめ、まだ完成しないビニロン工場。構内の敷地のいたるところに鉄筋や材木が乱雑につみ上げてある。セメント袋の破れたのが寒風に転がり空に舞い上がる。ビニロン工場建設指揮部のメンバーが、省(日本の県に相当)軽工業局の偉い人たちを案内して現場視察のさいちゅうで
Author: 柯雲路 え·范恵民 Year 1981 Issue 9 PDF HTML
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2. 工事費 (中)
「……部下の不満、反対派の思惑、コネにつながる面々の顔色、どっと潮に包まれたようだ。こうなったら背水の陣をしくまでだ」四翌日、工場建設連合指揮部で「三千万」の審査会が開かれたのだが、その席上、爆弾が落ちたような事件が起きた。丁猛が「では、銭技師に軽工業局を代表してちょっと話してもらいます」といったとき、皆は、これで会議もそろそろお開きだと、タバコにけむる会場はにわかに活気づいた。銭維叢のていねいな
Author: 柯雲路 え·范恵民 Year 1981 Issue 10 PDF HTML
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3. 工事費(下)
「……丁さんが三千万で見せた、あのくそまじめが、何人の人間を目ざめさせたか。この現状を改革するには、ほんの少しのことが必要なだけだ……」七その日、張安邦は構内の自宅に帰ると、ドカリとソファの背にひじをかけ、周到に思案をめぐらした。丁猛をやっつけてやる! もう「三千万」の件とははるかにかけはなれて、丁猛を憎悪し、対抗意識を燃やしている。ビニロン工場の主人は張安邦だと、丁猛に思い知らせてやりたいのだ。
Author: 何雲路 え·范恵民 Year 1981 Issue 11 PDF HTML