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1. 扇子と団扇
北京では―といつても北京にかぎつたことではないが―旧曆五月の節句の前後になると、よく、小さな箱を背にした行商人が、鈴の音をひびかせながら、大通りや橫町に姿をみせる。その箱にはちよつとした扇子修理用の道具がいれてあり、新しい扇子も何本かはいつている。扇子行商人の鈴の音は夏のまえぶれである。その鈴の音をきくと、人びとは去年の秋しまつた扇子をとり出してみる。中国人は扇子がすきである。暑ければ誰でも扇子は
Author: 朱家濂(チユウチヤーレン) Year 1958 Issue 8 PDF HTML