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Your search : [ author:●映泉●え 楊力舟] Total 3 Search Results,Processed in 0.068 second(s)
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1. 山の渡し場(中)
山の古い渡し場である。船頭の息子は、最後の客二人が乗りこんだので、舟をもやった鎖をほどいた。揺れが激しくなった。船頭はきせるをはたいて帯にはさむと、皆に向かって胸の前でにぎりこぶしを重ねる旧式のおじぎをした。「申し訳ないが、今日はこの大水だ、向こうへ着いたら戻れない、それに今日は船頭が二人だ、悪いけれど五角(〇·五元)もらうよ」「五角!」「五角?」乗客は目をまるくした。軍人だけが、さっと胸ポケット
Author: ●映泉●え 楊力舟 Year 1986 Issue 6 PDF HTML
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2. 山の渡し場(下)
急に増水した山奥の谷で、客八人、船頭二人の乗った渡し舟が、激流におし流されて、ずっと下流の対岸の岩に衝突した。そこは、谷に流れこむ小川があって、いつもは小さい渦をみせている場所だ。すぐ下流に危険な瀬が始まり、その先はダムにせき止められて、大きな淵になっている。いまは、増水した本流と小川の水がせめぎ合って、ここは大渦が巻いている。岩角が船底のまん中にくい込んだ衝撃で、かじから手を離した船頭は、舟の横
Author: 映泉 え 楊力舟 Year 1986 Issue 7 PDF HTML
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3. 山の渡し場(上)
山奥に残った古い渡し場に、渡し舟が一艘もやってある。つい何年か前まではそれでもここは賑やかな場所だった。山の村に出入りする人はみなこの渡しを利用していたので、朝から晩まで人が絶えなかった。船着き場の石材ひとつにしても大したものだし、数人がかりでやっとかかえられるほどのえんじゅの大木が岸の高みに並んでいるのも、歴史を物語っている。最近、かなり離れた所に山を縫ってバス道路が伸びてきてから、たちまちさび
Author: ●映泉 ●え 楊力舟 王迎春 Year 1986 Issue 5 PDF HTML