しゃべり始めた平泉の中国陶磁器

はじめて平泉の発掘調査に参加したのは、一九八五年の春のことだった。それまで数千年前の縄文時代の遺跡の調査しかしたことがなかったため、出土した白磁碗の破片を見たときは驚いた。そのあまりの見事さに「本当に当時のものだろうか？」と疑ったほどである。実はこれと同じ印象を、往時の人々も間違いなく持っていたと、後から気づくことになる。十二世紀の百年間、奥州藤原氏の拠点である平泉は、日本の中で有数の都市だった。...