円仁とその弟子たちは、目的地である仏教聖地五台山まであと一息の地点にまで来た。時は八四〇年旧暦四月であった。円仁は日記にその経過をこう記している。「二十七日、……大復嶺を越えた。嶺の東側では谷水は東に向かって流れ、西側では谷水は西に向かって流れている……道は次第に下りとなる」「松の緑は青い空に映えている。嶺の西側では樹々の葉はまだ芽吹いていない。……夕暮れに角詩普通院に到着した」五台山への道は、石...
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円仁とその弟子たちは、目的地である仏教聖地五台山まであと一息の地点にまで来た。時は八四〇年旧暦四月であった。円仁は日記にその経過をこう記している。「二十七日、……大復嶺を越えた。嶺の東側では谷水は東に向かって流れ、西側では谷水は西に向かって流れている……道は次第に下りとなる」「松の緑は青い空に映えている。嶺の西側では樹々の葉はまだ芽吹いていない。……夕暮れに角詩普通院に到着した」五台山への道は、石...