大晦日の朝早く、私は大同に向かうバスに乗り込んだ。バスのなかは春節(旧正月)の帰省客でいっぱいで、乗り合わせた人々の話し声は、寒さをふきとばしてしまうほどのにぎやかさだった。目的地、鎮辺堡の五キロ手前で、私はバスを下りた。一人荒野の中を歩き、厳冬の情緒を味わいたかったのだ。歩いていると、二台のトラクターがやってくるのが見えた。後ろにつけた荷台には人がぎゅうぎゅうに乗って、みな銅鑼や太鼓をさかんに打...
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大晦日の朝早く、私は大同に向かうバスに乗り込んだ。バスのなかは春節(旧正月)の帰省客でいっぱいで、乗り合わせた人々の話し声は、寒さをふきとばしてしまうほどのにぎやかさだった。目的地、鎮辺堡の五キロ手前で、私はバスを下りた。一人荒野の中を歩き、厳冬の情緒を味わいたかったのだ。歩いていると、二台のトラクターがやってくるのが見えた。後ろにつけた荷台には人がぎゅうぎゅうに乗って、みな銅鑼や太鼓をさかんに打...