B5判大の長方形の硯がある。上部は荒い岩肌のままで、中央の墨池にはいく重にも広がる波紋と飛翔する仙女の模様が見とめられる。墨池の外側には天然の金線が十数本ついていて、その間に文字が刻み込まれ、硯全体が出土したばかりの形のくずれた古書に似ているので「残巻」と名付けられている。自然の趣と巧みな意匠を結び合わせた苴却(チユイチユエ)硯だ。硯石の出所苴却は四川省と雲南省との境界の攀西地溝帯にある。むかしは...
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B5判大の長方形の硯がある。上部は荒い岩肌のままで、中央の墨池にはいく重にも広がる波紋と飛翔する仙女の模様が見とめられる。墨池の外側には天然の金線が十数本ついていて、その間に文字が刻み込まれ、硯全体が出土したばかりの形のくずれた古書に似ているので「残巻」と名付けられている。自然の趣と巧みな意匠を結び合わせた苴却(チユイチユエ)硯だ。硯石の出所苴却は四川省と雲南省との境界の攀西地溝帯にある。むかしは...