デートのたびに出合う盲人に興味を抱いた彼だが……バスが着くと、人々は一斉にドアの前に群がった。「降りる方が終わってから、お乗り下さい」と車掌の張り上げた声が響く。ドアがまさに閉まろうとした時、一本の杖が伸びてきた。一人の盲人が手探りでバスに乗り込むと、杖を胸に抱いて片手をのばし、頭の上の釣り革を探し始めた。背の高い彼がまるで衝立のように僕の傍に立ち、そのうえ風に吹き上げられた上着の裾が顔に触れてく...
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デートのたびに出合う盲人に興味を抱いた彼だが……バスが着くと、人々は一斉にドアの前に群がった。「降りる方が終わってから、お乗り下さい」と車掌の張り上げた声が響く。ドアがまさに閉まろうとした時、一本の杖が伸びてきた。一人の盲人が手探りでバスに乗り込むと、杖を胸に抱いて片手をのばし、頭の上の釣り革を探し始めた。背の高い彼がまるで衝立のように僕の傍に立ち、そのうえ風に吹き上げられた上着の裾が顔に触れてく...