秘密の手紙を夫に読まれてしまったと思ったのだが、夫が目をつけたのは意外にも……「うー」と低く警笛をならしながら列車がプラットホームに入ってきたが、潔は依然としてせわしげに、買ってきたばかりの食品を夫の旅行カバンに詰めている。「もういいよ、残ったのは持って帰って君が食べればいい。もうすぐ発車するぞ」夫はしきりに列車のほうに目をやりながら、潔をせき立てた。「果物は持って行ったほうがいいわ。旅行してると...
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秘密の手紙を夫に読まれてしまったと思ったのだが、夫が目をつけたのは意外にも……「うー」と低く警笛をならしながら列車がプラットホームに入ってきたが、潔は依然としてせわしげに、買ってきたばかりの食品を夫の旅行カバンに詰めている。「もういいよ、残ったのは持って帰って君が食べればいい。もうすぐ発車するぞ」夫はしきりに列車のほうに目をやりながら、潔をせき立てた。「果物は持って行ったほうがいいわ。旅行してると...