中国西南部の辺境、雲南省のほぼ中央に位置する弥勒県の県城(県政府のある町)から約八〇キロ離れた緑の山の中に、中山という戸数千戸ほどの村がある。村の中央に五、六ヘクタールの池があり、イ族や漢族の家屋の炊煙と草をはむ牛や羊の影を映している。伍恵珍という中国名を持つ日本女性がこの村に四十七年も住んでいる。彼女の家の壁には、中華人民共和国の国籍証明書を収めた額縁が掲げてある。そこにはかっきりとした書体で「...
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中国西南部の辺境、雲南省のほぼ中央に位置する弥勒県の県城(県政府のある町)から約八〇キロ離れた緑の山の中に、中山という戸数千戸ほどの村がある。村の中央に五、六ヘクタールの池があり、イ族や漢族の家屋の炊煙と草をはむ牛や羊の影を映している。伍恵珍という中国名を持つ日本女性がこの村に四十七年も住んでいる。彼女の家の壁には、中華人民共和国の国籍証明書を収めた額縁が掲げてある。そこにはかっきりとした書体で「...