汪兆年さんは今年六十一歳。三年前に北京バス公司を定年退職したが、今でも当時の作業服を着ている。洗いざらしてすっかり白くなっているが、それだけに愛着もひとしおだという。奥さんのからだが弱いので、昼食を作るのは汪さんの仕事だ。後片付けをすませた後、北海公園のすぐ北にある什刹海(シーチャーハイ)へ自転車を走らせる。家から五十分もかかるが、そんな距離も何のそのだ。目指す東屋(あずまや)には何人かの京劇ファ...
Please login first!
汪兆年さんは今年六十一歳。三年前に北京バス公司を定年退職したが、今でも当時の作業服を着ている。洗いざらしてすっかり白くなっているが、それだけに愛着もひとしおだという。奥さんのからだが弱いので、昼食を作るのは汪さんの仕事だ。後片付けをすませた後、北海公園のすぐ北にある什刹海(シーチャーハイ)へ自転車を走らせる。家から五十分もかかるが、そんな距離も何のそのだ。目指す東屋(あずまや)には何人かの京劇ファ...