一九九三年九月二十二日北京労働人民文化宮で、中国では珍しい「古書競売会」が開かれた。入場料は三十元(一元は約二十円)と高額なのに、熱心な観衆が会場に殺到した。まず競売されたのは「偽装書」と呼ばれた『乗燭後談』。毛沢東の政治報告の摘録であるこの中国共産党の秘密出版物は底値が八十元で、三分間激しい競り合いの結果、ついに書籍収集家の一人に二百三十元の高値で買われて行った。こんどの競売では、「偽装書」は三...
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一九九三年九月二十二日北京労働人民文化宮で、中国では珍しい「古書競売会」が開かれた。入場料は三十元(一元は約二十円)と高額なのに、熱心な観衆が会場に殺到した。まず競売されたのは「偽装書」と呼ばれた『乗燭後談』。毛沢東の政治報告の摘録であるこの中国共産党の秘密出版物は底値が八十元で、三分間激しい競り合いの結果、ついに書籍収集家の一人に二百三十元の高値で買われて行った。こんどの競売では、「偽装書」は三...