長庚は“烏頭(うとう)”と呼ばれるロバを売ったあと、一時、少しばかり後悔した。このロバは生産隊が解散した時、十五元で買ったものだ。当時は、皮は粗雑で骨はやせ、風に吹き飛ばされてしまうほど弱々しいロバだとみんな思っていた。隊があげようとしても、誰もが手を振って辞退する。ちょっとでも用心を怠れば、自分の手元で死んでしまうと心配するからだ。だが、長庚には眼力があったので、このロバが純粋の“烏頭”だとわか...
Please login first!
長庚は“烏頭(うとう)”と呼ばれるロバを売ったあと、一時、少しばかり後悔した。このロバは生産隊が解散した時、十五元で買ったものだ。当時は、皮は粗雑で骨はやせ、風に吹き飛ばされてしまうほど弱々しいロバだとみんな思っていた。隊があげようとしても、誰もが手を振って辞退する。ちょっとでも用心を怠れば、自分の手元で死んでしまうと心配するからだ。だが、長庚には眼力があったので、このロバが純粋の“烏頭”だとわか...