一九八九年五月十五日、北京時間十二時一分。濃紺のスーツに身をつつんだゴルバチョフソ連共産党書記長がイリューシン62の扉に姿をあらわした。タラップを下りる。地上には赤いじゅうたんが敷かれ、出迎えた楊尚昆国家主席が歩み寄って手をさしのべる。かたく握られた手が、上下に何回もゆり動かされた。記者には、同じこの場所の同じような場景が、自然に想い出されたのだった。一度は、十七年前、周恩来総理がアメリカのニクソ...
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一九八九年五月十五日、北京時間十二時一分。濃紺のスーツに身をつつんだゴルバチョフソ連共産党書記長がイリューシン62の扉に姿をあらわした。タラップを下りる。地上には赤いじゅうたんが敷かれ、出迎えた楊尚昆国家主席が歩み寄って手をさしのべる。かたく握られた手が、上下に何回もゆり動かされた。記者には、同じこの場所の同じような場景が、自然に想い出されたのだった。一度は、十七年前、周恩来総理がアメリカのニクソ...