漢代に最初のピークをむかえた篆刻の歴史も、隋·唐になると下降線をたどり、五代·宋·元、そして明代の初期まで、前後およそ千年ほどの間は、これといって特筆することのない“空白時代”に終始します。あれほど輝かしい達成をみせた秦鉨(しんじ)·漢印の伝統が、単にお役所の権威を誇示するだけの、形ばかり大きな、「官印」に堕してしまったのです。ひとつには、広く紙や帛(はく)(絹布)が普及したことにより、個人間の音...
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漢代に最初のピークをむかえた篆刻の歴史も、隋·唐になると下降線をたどり、五代·宋·元、そして明代の初期まで、前後およそ千年ほどの間は、これといって特筆することのない“空白時代”に終始します。あれほど輝かしい達成をみせた秦鉨(しんじ)·漢印の伝統が、単にお役所の権威を誇示するだけの、形ばかり大きな、「官印」に堕してしまったのです。ひとつには、広く紙や帛(はく)(絹布)が普及したことにより、個人間の音...