外国人が北京へ行くと、一度はペキンダックを食べるし、日本へ行くと、それがサシミになる。国の味というものだろう。だが、ペキンダックの歴史は、せいぜい数百年のものだ。いっぽう、魚を生で食べる習慣は、中国にも三千年前からあり、これを「鱠(かい)」といった。古代中国のいわば国の味だった。「人口(じんこう)に膾炙(かいしや)」の膾である。膾(かい)は生の細切りの魚肉、炙(しや)は焼肉。膾はのちに鱠(かい)と...
Please login first!
外国人が北京へ行くと、一度はペキンダックを食べるし、日本へ行くと、それがサシミになる。国の味というものだろう。だが、ペキンダックの歴史は、せいぜい数百年のものだ。いっぽう、魚を生で食べる習慣は、中国にも三千年前からあり、これを「鱠(かい)」といった。古代中国のいわば国の味だった。「人口(じんこう)に膾炙(かいしや)」の膾である。膾(かい)は生の細切りの魚肉、炙(しや)は焼肉。膾はのちに鱠(かい)と...