昔、ある町に一軒の雑貨店があった。店主は、よく客をペテンにかけた。ある日、一人の客がやってきた。棚においてある口の欠けた急須を、ためつすがめつして見ている。これを見た店主、ふっと悪心を起こした。「これは口なし急須といいましてな、わざわざ景徳鎮から仕入れたものでございます。徳利に使ってもよし、卵をゆでてもよし。どなたもこれにお気づきにならなかったが、お客さまは、さすがにお目が高い!」「そのとおり。わ...
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昔、ある町に一軒の雑貨店があった。店主は、よく客をペテンにかけた。ある日、一人の客がやってきた。棚においてある口の欠けた急須を、ためつすがめつして見ている。これを見た店主、ふっと悪心を起こした。「これは口なし急須といいましてな、わざわざ景徳鎮から仕入れたものでございます。徳利に使ってもよし、卵をゆでてもよし。どなたもこれにお気づきにならなかったが、お客さまは、さすがにお目が高い!」「そのとおり。わ...