一九四九年(昭和二十四年)の東アジアは騒然としていた。日本では、敗戦後の激しいインフレが収束しはじめ食糧も出回りだしたが、東西対立を反映して国内の左右対立が激化し、夏には、国鉄総裁が轢死体で発見された下山事件をはじめとし、三鷹事件、松川事件……と占領下の奇怪な事件があいついだ。この年、中国では、解放軍が怒濤のように南下して国民党軍を追い落とし、十月一日、毛沢東主席は天安門楼上から中華人民共和国の成...
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一九四九年(昭和二十四年)の東アジアは騒然としていた。日本では、敗戦後の激しいインフレが収束しはじめ食糧も出回りだしたが、東西対立を反映して国内の左右対立が激化し、夏には、国鉄総裁が轢死体で発見された下山事件をはじめとし、三鷹事件、松川事件……と占領下の奇怪な事件があいついだ。この年、中国では、解放軍が怒濤のように南下して国民党軍を追い落とし、十月一日、毛沢東主席は天安門楼上から中華人民共和国の成...