秀才の面子（メンツ）

昔、ひとりの秀才＊がいた。家は貧しいのだが、大変な気取り屋で、人の前ではいつも金持ち面をし、ほらばかり吹いていた。ある日、秀才のほらを耳にした泥棒が、夜中にこっそり家にしのび込んだ。あちこち物色したが、値打ちのあるものは何もない。ついに腹を立てて、 「ほらばかり吹きやがって。家の中はすっからかんじゃないか」 と、手ぶらで行ってしまった。さて、それを聞きつけた秀才、慌てて起き上がり、泥棒を追いかけた...