昔、あるところに、ひどい仕打ちをする県知事がいた·罪人を弓の的がわりに使うのだ。ある日、ふと思いついて部下に命じた。五十歩離れた戸板に罪人をしばりつけろと。そして得意げに言った。「わしの極意の技を見せてやろう。この一矢であいつの右の耳たぶを射拔いてやる」弓を引きしぼって、ビシッ。命中した。罪人の耳たぶから鮮血がしたたった。自分はかたわらで高笑い。罪人の中に、床屋をしていた男がいた。指折りの腕をもっ...
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昔、あるところに、ひどい仕打ちをする県知事がいた·罪人を弓の的がわりに使うのだ。ある日、ふと思いついて部下に命じた。五十歩離れた戸板に罪人をしばりつけろと。そして得意げに言った。「わしの極意の技を見せてやろう。この一矢であいつの右の耳たぶを射拔いてやる」弓を引きしぼって、ビシッ。命中した。罪人の耳たぶから鮮血がしたたった。自分はかたわらで高笑い。罪人の中に、床屋をしていた男がいた。指折りの腕をもっ...