これまで、枕のような日常に使う物は「文化」とみなされることがまれで、近世になっても、服飾、衣冠の大著が多い中に枕には席が与えられていない。三国時代の呉の張紘が、その著『枕賦』の中で、枕と冠をあわせて論じ「冠は昼用、枕は夜用、ともに頭の用品で、昼夜の差があるだけだ」としているのが比較的公平なぐらいだ。古礼では、靴を枕の上に置くことは許されなかった。枕は尊いものとされ、たとい新しい靴でも靴は卑しく、尊...
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これまで、枕のような日常に使う物は「文化」とみなされることがまれで、近世になっても、服飾、衣冠の大著が多い中に枕には席が与えられていない。三国時代の呉の張紘が、その著『枕賦』の中で、枕と冠をあわせて論じ「冠は昼用、枕は夜用、ともに頭の用品で、昼夜の差があるだけだ」としているのが比較的公平なぐらいだ。古礼では、靴を枕の上に置くことは許されなかった。枕は尊いものとされ、たとい新しい靴でも靴は卑しく、尊...