顧（た）だ余仕うるに及ばず剣を学んで山東に来る―俗と仙のはざまで

李白が安陸から山東に移ったのには、いろいろとわけがあるだろうが、李白自身の言いかただと、剣術の大家裴旻（はいびん）について剣を学ぶために来たのであり、裴旻にあてた手紙に、李白、願わくば裴将軍の門下に出でんと、という意味のことを書いている。また「五月、東魯の行、汶（びん）上（じよう）の翁に答う」の詩にも「顧（た）だ余仕（よつか）うるに及ばず、剣を学んで山東に来（きた）る」とある。どうも、剣の修業が、...