前漢の香炉といえば、まずは漢武帝の博山炉を挙げねばならない。記載では、西王母(中国に古く信仰された女仙)が、三千年に一度実るという仙桃とともに武帝に贈ったもの。いわば天上の品だ。これは一つの神話にすぎないが、六年前、陝西省興平県の武帝墓近くからひときわ異彩を放つ博山炉が出土、人びとを驚かせた。まさに神品というにふさわしい。文様を見てみよう。主体をなすのは竜。台には、とぐろを巻く二匹の竜の透かし彫り...
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前漢の香炉といえば、まずは漢武帝の博山炉を挙げねばならない。記載では、西王母(中国に古く信仰された女仙)が、三千年に一度実るという仙桃とともに武帝に贈ったもの。いわば天上の品だ。これは一つの神話にすぎないが、六年前、陝西省興平県の武帝墓近くからひときわ異彩を放つ博山炉が出土、人びとを驚かせた。まさに神品というにふさわしい。文様を見てみよう。主体をなすのは竜。台には、とぐろを巻く二匹の竜の透かし彫り...