著名な画家張大千は、一九五一年、香港から南米へ旅立つ前、宝同様に収蔵していた古画三点―五代南唐の顧閎中の「韓熙載夜宴図」、董源の「瀟湘図」、元の方従義の「武夷放棹図」を売ることを突然決めた。価格は一点一万ドル。これは当時の美術界を驚かせた。「古画を命のように大切しているのに、世界にまれな絵をたやすく売るはずはない」と張大千を知る人びとは不思議であった。「瀟湘図」は董源の代表的な作品の一つ。山水画の...
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著名な画家張大千は、一九五一年、香港から南米へ旅立つ前、宝同様に収蔵していた古画三点―五代南唐の顧閎中の「韓熙載夜宴図」、董源の「瀟湘図」、元の方従義の「武夷放棹図」を売ることを突然決めた。価格は一点一万ドル。これは当時の美術界を驚かせた。「古画を命のように大切しているのに、世界にまれな絵をたやすく売るはずはない」と張大千を知る人びとは不思議であった。「瀟湘図」は董源の代表的な作品の一つ。山水画の...