東晋·衛夫人の楷書

衛（えい）夫人といってもピンとこないかも知れないが、書聖王羲之の書道の先生こそ、だれあろうこのひとなのだ。衛夫人（二七二～三四九）、名は鑠（しやく）、あざなは茂漪（もい）、東晋の河東安邑（あんゆう）（いまの山西省夏県）の人で、汝陰の太守李矩の妻。人びとから衛夫人と呼ばれた。楷書のひな形を創造した大書道家鍾繇（しようよう）（一五一～二三〇）に師事し、名師のもとに高弟ありといわれるとおり、衛夫人は師の...