砂鍋居は北京料理の老舗中の老舗で、前々からその名を聞いていたが、実を言うと最初にこの店を訪れたのは北京で働くようになってから二十年目の一九七七年のことだった。その日、わが社はその店で日本の有名な華僑の作家陳舜臣先生を招待し、幸いわたしもお相伴にあずかった。席上、出た料理はみな豚の各部位からのものである。まず種々さまざまな「焼碟(シヤオテイエ)」を味わった。「焼碟」とは、豚の肝臓、肺、心臓、胃袋、腸...
Please login first!
砂鍋居は北京料理の老舗中の老舗で、前々からその名を聞いていたが、実を言うと最初にこの店を訪れたのは北京で働くようになってから二十年目の一九七七年のことだった。その日、わが社はその店で日本の有名な華僑の作家陳舜臣先生を招待し、幸いわたしもお相伴にあずかった。席上、出た料理はみな豚の各部位からのものである。まず種々さまざまな「焼碟(シヤオテイエ)」を味わった。「焼碟」とは、豚の肝臓、肺、心臓、胃袋、腸...