一九七四年五月下旬、チレンマ峰を偵察するため、曽曙生さんらと六人で五四〇〇メートルのフシュラ峠を越え、ロンシャ河谷に入った。ロンシャ河谷は世界の最高峰チョモランマの西側にあり、全長六〇キロにおよぶ。斜面の上方を見あげると、積雪におおわれていたが、河谷には松や柏が青々とし、竹が茂っていた。さらに、鳥のさえずりも聞こえ、花が咲いている。二日間歩いて、ロンシャ河谷の中ごろにあるチュルワ寺に着いた。ラマ教...
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一九七四年五月下旬、チレンマ峰を偵察するため、曽曙生さんらと六人で五四〇〇メートルのフシュラ峠を越え、ロンシャ河谷に入った。ロンシャ河谷は世界の最高峰チョモランマの西側にあり、全長六〇キロにおよぶ。斜面の上方を見あげると、積雪におおわれていたが、河谷には松や柏が青々とし、竹が茂っていた。さらに、鳥のさえずりも聞こえ、花が咲いている。二日間歩いて、ロンシャ河谷の中ごろにあるチュルワ寺に着いた。ラマ教...