あるとき、宋代の詩人蘇軾(東坡)(一〇三七~一一〇一)が、杭州付近の莫干山に遊んだ。甚だ疲れたのでひと休みしようと思い、とある寺院に入った。一人の道士が迎えてくれた。彼は蘇軾の身なりが質素なのを見て、冷ややかに椅子を指して言った。「坐!」(掛けなさい)それから小僧をよんで言いつけた。「茶!」(お茶)蘇軾は座ってから道士とよもやま話をかわした。話しているうちに道士は、この客はすこぶる才能があり、普通...
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あるとき、宋代の詩人蘇軾(東坡)(一〇三七~一一〇一)が、杭州付近の莫干山に遊んだ。甚だ疲れたのでひと休みしようと思い、とある寺院に入った。一人の道士が迎えてくれた。彼は蘇軾の身なりが質素なのを見て、冷ややかに椅子を指して言った。「坐!」(掛けなさい)それから小僧をよんで言いつけた。「茶!」(お茶)蘇軾は座ってから道士とよもやま話をかわした。話しているうちに道士は、この客はすこぶる才能があり、普通...