いまの世界で「下駄の国」と呼ぶことのできるのは、恐らく日本ぐらいであろう。とくに和服を身につけ、下駄をはいて小刻みに歩く女性の姿はしとやかで気品があり、しかも慎ましやかで、すこぶる風韻に富む。京都、奈良など古都を観光した折、その姿にうっとりさせられることしばしばだった。軽やかにはずむ下駄の音は一種の美の享受、古典芸術を賞翫しているかのようであった。一人の男として、こんなにも異国の女性を凝視するのは...
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いまの世界で「下駄の国」と呼ぶことのできるのは、恐らく日本ぐらいであろう。とくに和服を身につけ、下駄をはいて小刻みに歩く女性の姿はしとやかで気品があり、しかも慎ましやかで、すこぶる風韻に富む。京都、奈良など古都を観光した折、その姿にうっとりさせられることしばしばだった。軽やかにはずむ下駄の音は一種の美の享受、古典芸術を賞翫しているかのようであった。一人の男として、こんなにも異国の女性を凝視するのは...